今月、米国の代表的企業のCFOからなるグループが、グローバルなA4S最高財務責任者リーダーシップ・ネットワーク初となる米国支部を立ち上げると発表しました。この権威あるグループには、ICMIF会員であるセキュリアン・フィナンシャルの最高財務責任者、ウォーレン・ザッカロ(Warren Zaccaro)氏も名を連ねています。
この共同ネットワークは、英国のチャールズ皇太子殿下により2004年に設立された非営利の持続可能な会計プロジェクト(A4S)によって設置され、持続可能性および社会・環境課題のためのソリューションを企業のコア戦略や事業プロセスに反映させる取り組みにおいて、ビジネス界のリーダーたちを支援します。
新設されたA4S米国支部にセキュリアン・フィナンシャルが参加することについてザッカロ氏は、「セキュリアン社にとってA4Sのメンバーであることの最大の利点の一つは、変化をもたらすことについて他社から学べることです。保険会社である当社は、かたちある物やそれに伴う汚染を生み出すわけではありません。しかし、だからといって他のA4S参加企業から何かを学び、事業に適用していくことができないわけではありません。A4Sへの参加は、当社の持続可能性への現在の取り組みを守ると同時に、さらなる影響力を発揮できる場を見出す一助となるでしょう」と述べています。
ICMIFのショーン・ターバック事務局長は、「A4S最高財務責任者リーダーシップ・ネットワーク米国支部が公式に発足したと聞き大変喜んでいます。ICMIF会員は長年にわたり、企業の社会的責任(CSR)に関する報告を率先して実施してきました。これは、会員団体の長期的な視点と、奉仕するコミュニティとのより強い結束の賜物です。協同組合/相互扶助の保険組織には、身近なコミュニティとともに地球全体をも守りたいという願望があります。私を含めたチームにとって、A4Sと協調してその目的に向かって取り組み、会員の皆様にもA4Sの取り組みへの積極的な関与を促すことは当然のことに思えました」と述べました。
ターバック事務局長は、「会計報告に持続可能な財務を反映させる方法があることを企業のCFOの皆さんに納得してもらうために、ICMIFはA4Sがすでに成し遂げてきた素晴らしい仕事を全力で推し進めます。持続可能な社会の達成に向けて財務コミュニティが果たす役割は重大です。そして、その取り組みに積極的に関われる理想的な候補が協同組合/相互扶助の保険組織です。持続可能な財務および投資は今年11月にオークランドで開催予定のICMIF総会の議題にも上っています」と続けました。
米国政府発表の全米気候評価報告書によれば、今世紀末までに米国のGDPは気候変動により10%の打撃を受ける可能性があり、ビジネス界は重要な課題を突き付けられています。しかし、持続可能なビジネスモデルを取り入れることによって、収益を改善し、資本コストを削減し、また市場実績を向上させることが可能です。
A4Sでは、CFOを組織における主要な「持続可能な価値」の創造者の一人と位置付けています。CFOは社会的リスクおよび環境リスクに関わる課題や機会に対処する際に極めて重大な役割を果たします。リーダーシップ・ネットワークのメンバーは、行動を起こすことを確約した宣言書に調印しています。メンバーは集団的影響力を行使することでより広範囲のCFOや財務コニュニティと関わり、彼らを動かし、協力していきます。
米国支部の創立メンバーを構成するのはテクノロジー、機械、保険、消費財、および医療分野といったさまざまな業種にわたるグローバル企業の最高財務責任者らで、総資産は2,260億米ドル以上となっています。創立メンバーは以下の通りです。
・ウォーレン・ザッカロ、セキュリアン・フィナンシャル社
・マーク・ホーキンス、セールスフォース・ドットコム社
・アンドリュー・ボンフィールド、キャタピラー社
・スコット・ヘレン、オートデスク社
・ゼイン・ロウ、VMWare社
・ハーミット・シン、リーバイ・ストラウス社
・キース・テイラー、エクイニクス社
・ロビン・ワシントン、ギリアド・サイエンシズ社
チャールズ皇太子は2018年11月にA4Sが開催したサミットで、「財務のフローを持続可能な成果をもたらす方向に向け、あらゆるビジネスの意思決定プロセスに持続可能性を反映させるという変化を起こすために、財務コミュニティは極めて重要な存在です。絶対に実現されなければならないこの画期的転換を、慎重にそして明白な方法で確実に実現するために、皆さん全員の存在が極めて重要なのです」と述べられました。
CFOリーダーシップ・ネットワークには2017年3月に発足したカナダ支部もあり、ICMIF会員団体のコーポレーターズ社副社長兼最高財務責任者であるカレン・ヒギンズ氏は同支部のメンバーです。
写真:ロンドンでチャールズ皇太子に謁見するウォーレン・ザッカロ氏(左から3人目)らのCFO達
持続可能な会計プロジェクト(A4S)について
持続可能な会計プロジェクト(A4S)は、持続可能な意思決定プロセスを「当たり前のこと」とすることを目的に、2004年に英国のチャールズ皇太子殿下により設立されました。
A4Sは、財務・会計コミュニティとともに以下の項目に取り組みます。
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- 持続可能で強靭なビジネスモデルの適用に向け、財務のリーダー達を鼓舞する
- 財務上の意思決定プロセスを、社会・環境問題が提示するリスクや機会を反映した統合的アプローチができるように変容させる
- 世界中の財務・会計コミュニティへとアクションを拡大していく
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A4Sには3つのグローバルネットワークが存在しています。それらは、財務・会計の転換を模索する一流企業のCFOからなる「最高財務責任者リーダーシップ・ネットワーク(Chief Financial Officers Leadership Network)」、世界中の会計士の約3分の2がメンバーとして登録する「会計団体ネットワーク(ABN: Accounting Bodies Network)」、そして年金基金のトップらが集まり、投資への持続可能性の統合を模索する「アセットオーナー・ネットワーク (Asset Owners Network)」です。