スイス・リー・インスティテュートの最新版シグマレポート「World insurance: the great pivot east continues(世界の保険:東方への大きなシフトが続く)」(※日本語は仮訳)によると、世界の保険料収入が2018年に初めて5兆米ドルを突破しました。これは、世界の国内総生産(GDP)の6%以上に相当します。特に中国および新興アジア諸国、さらに先進国市場における損害保険部門の堅調な伸びが主因と同レポートでは分析しています。
今回のレポートのポイントは以下のとおりです。
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- 2018年に世界の保険料収入が初めて5兆米ドルを突破。損害保険部門が堅調に伸びた一方、生命保険部門の伸びは落ち着いたものとなった
- 生・損を合わせた保険料収入は、新興市場における両部門を通じた力強い伸びと、先進国市場における損害保険の堅調な成長により、2020年は前年比で約3%(実質ベース)の成長となろう
- 先進国市場では、低金利を受け従来型の貯蓄型生命保険事業は依然として困難が続く
- 損害保険部門では、先進的運転支援システムの進歩が続き、長期的に自動車保険料が圧迫される可能性がある
- 米国は引き続き最大の保険市場であり、中国と日本がこれに続く - 保険ビジネスの東方への継続的なシフトが続く
- 2029年までにアジア太平洋地域は世界の保険料の42%を占めることになろう-中国のシェアは20%になると予測され、同国は2030年代半ばまでに世界最大の保険市場になる見通し
- スイス・リー・インスティテュートが北京に中国センターを開設
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この最新のシグマによると、世界の保険料収入は新興市場が主導し2020年に前年比3%(実質ベース)で増加すると予測されています。生命保険料は2.9%増加し、過去10年間の平均0.6%を大幅に上回りますが、これは中国における回復基調が主な要因です。損害保険部門では、アジア新興国が主導し世界の保険料は3%の増加が見込まれますが、先進国市場の堅調な成長がこれを下支えします。中国は、今後2年間にわたり生・損保ともに保険料の伸びに最も貢献し、世界の保険料収入に対するシェアが現在の約11%から上昇して2029年までに20%に達するでしょう。
レポートの調査結果によると、中国は2030年代半ばまでに世界最大の保険市場として米国を追い抜く方向に進んでいます。中国市場の重要性の高まりとシグマレポート最新版の発行と時を同じくしてタイムリーに、スイス・リー・インスティテュート(Swiss Re Institute)が北京に中国センターを開設することをお知らせできることを嬉しく思います。
ICMIFは先月、スイス・リー社がICMIFの協賛会員になったことを発表しました。
この新たなパートナーシップによりスイス・リー社は、ICMIFの会員団体がその知識と専門性を活用する機会、リスクを予想し管理するための支援、および無保険リスクを削減し社会のレジリエンス向上を実現するための連携機会を追求していきます。スイス・リー社は、今年後半(2019年11月12日〜15日)にニュージーランドのオークランドで開催されるICMIF総会にチームで参加する予定です。