ICMIF賛助会員であるスイスリーの研究部門であるスイスリー・インスティテュートからの最新のシグマ調査誌は、損害保険会社が技術の進歩により高度なアナリティクスを活用して、リスクの評価と軽減の新たなフロンティアを開拓できるようになっていることを示唆しています。保険会社が基礎となる損失要因の可視性を高めるなか、経費率の改善に焦点を当てた過去の成功例は、保険会社によるパイロット・プログラムへの新たな投資を促進し、損害率が有意に改善されました。真の可能性は、開発者とユーザーの間の協調的な努力によってのみ実現されますが、ただし、すべてのプロジェクトでの成功が期待されると、採択が制限され、試行と改善の好循環が制約される可能性があります。
「ほとんどの保険会社は、パイロット・プログラムの事業化において3分の1の成功率を目指しています。高すぎる成功率は、ユースケースが簡単すぎることを意味する場合があります」と、スイスリーのP&CソリューションズでP&Cアナリティクスの責任者を務めるDaniel Knüsli氏は言います。
アナリティクスの進展の機会を探る
アナリティクスの進展は、間違いなく保険のバリューチェーンを通して影響を与えます。データサイエンス、リスクに関する知識と技術が交差する中、レガシーシステム、旧態依然のマインドセット、人材の不足といった大きな課題が残っています。それにもかかわらず、スイス・リー・インスティテュートは、今後数年でより多くの保険会社がコアシステムの更新を完了し、差別化するための機能を模索する中で、固定的なIT予算の中でデータと分析への支出が増加すると予想しています。
保険会社は、テクノロジーよりむしろビジネス能力の観点からアナリティクスを検証することが必要となります。
これには、分析を使い新たな市場機会とリスクプールを深く理解し成長の実現、顧客を良く理解し影響を及ぼす方法、既存のポートフォリオを外部データセットとを組み合わせによるリスクの蓄積とポートフォリオの操作に関する洞察の獲得、アンダーライティングと保険金支払処理機能のうち手作業および反復作業の自動化による効率性の改善が含まれます。
複数の事業分野にわたる高度な分析パイロットは、健全な損害率の改善を示しますが、さまざまな理由により、リアルタイムの取引条件下における結果は異なる場合があります。保険会社は実際の取引条件の下で損害率を2~5% 改善することを目標にしているようです。
「P&Cソリューションズのプロジェクトの展開にかかる時間は、事業種類とプロジェクト目標によって異なりますが、迅速な展開に必要な期間は最低で数週間です。広範なビジネス統合と大規模な効率性の実現にはさらに時間がかかる可能性があります。P&Cソリューションズのチームの一部であるP&Cアナリティクスは、他のソリューションをプロジェクトに統合してクライアントの利益をさらに高めることができます」と、スイスリーP&CソリューションズのグローバルヘッドであるEric Schuh氏は述べています。
シグマ2019年第4号「アナリティクスの進展:損害保険の新たなフロンティアを開拓する」を入手希望のICMIF会員は、スイスリー・インスティテュートのウェブサイトからダウンロードできます。 レポートは、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、日本語で提供されています。