ICMIF協賛会員であるAMベストは今週、新型コロナウイルス(2019-nCoV)の診断と治療に関する医療費の全てを引き受けるとの中央政府の発表、保障対象からの除外、中国の典型的な財産保険の下では事業中断リスクの請求トリガーに該当しないといった諸要因により、中国の損害保険市場が進行中の新型コロナウイルス発生から被る損失は限定的と予想すると述べました。
「武漢でのコロナウイルス流行の中国損害保険市場への影響は限定的な可能性」と題した最新のコメンタリーによると、AMベストの見解では、政府が医療診断と治療の費用を負担することを踏まえると、個々の保険契約者が自己の健康保険で保険金を請求せざるをえないような多額の医療費を負担する可能性は低いと見られます。
この流行により、2020年第1四半期の中国の国内総生産の伸びは鈍化する可能性が高いものの、中国における典型的な財産保険契約の内容を踏まえると、事業中断による経済的損失が保険部門に波及する可能性は低いと見られます。保険契約の文言により保障範囲は異なるものの、旅行保険などの商品種目は影響を受ける可能性があります。2003年のSARS発生時の経験によって保険会社が慎重になり、通常は個人傷害保険から伝染病は除外されています。
AMベストでは、他人との接触を避ける感染防止策や、国内経済活動の全体的な減速によって2020年上期の新契約高が減少する可能性があり、短期的には、新型コロナウイルスの流行が中国の保険会社のトップラインの伸びにマイナスの影響を与える可能性が高いと見ています。
中国の損害保険市場は、2019年に計上元受保険料が前年比で2桁の成長を記録しましたが、これは短期健康保険セグメントの前年比30%以上の成長によるものであり、その大半は社会保障を補完する実費給付型の保険契約です。
長期的には、AMベストは、足元の健康上の緊急事態により健康リスク全般に対する消費者の意識が高まり、将来の健康保険商品の販売を促進し、業界における保険商品の革新と差別化を促進する可能性が高いと考えます。AMベストは、新型コロナウイルス流行の推移を引き続き監視し、影響と損失の見積もりが可能になり次第、格付対象企業の信用ファンダメンタルズに生じる影響を評価する予定です。
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