オランダのICMIF会員アクメア(Achmea)は昨日、シニア債券の新規発行につき発表しました。この債券は、2020年11月に償還を迎える7億5,000万ユーロ(約885億円)のシニア無担保債の借り換えに充てられます。
アクメアは今年3月12日に決算数値を公表し、ソルベンシー・マージン比率は219%、流動性は7億3,200万ユーロ(約864億円)であることを発表しました。アクメアは、新型コロナウィルスの世界的流行に照らして、2020年第1四半期の自己資本と流動性のポジションは強固であり、ソルベンシー・マージン比率が目標水準を大幅に上回っていることを確認しました。感染流行の期間と程度にもよるものの、投資ポートフォリオへの金融市場からのマイナスの影響に加え、2020年における損害保険と健康保険事業の財務結果にも悪影響がでる可能性を見込んでいるとアクメアは述べました。
5月18日(月)に発表された最初のプレスリリースで、協同組合保険会社であるアクメアは、保守的な投資ポートフォリオ運営と、金融市場の動向に対する感応度の抑制の結果、2020年第1四半期における金融市場からのマイナスの影響は管理可能であると述べました。金融市場は急激に状況が悪化したものの、ソルベンシー(支払能力)の変化は限定的であり、以前開示された感応度とあまり変わりはありません。
また、今週のプレスリリースにおける以下の情報に基づけば、第1四半期の保険事業への影響は比較的小さいとアクメアは見ています。
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- 損害保険、旅行保険、イベント保険では、足元で保険金の請求と支払いが増加しています。所得補償保険の請求は、これまでのところ過去数年の水準と変わりませんが、パンデミックとその結果生じる病気の症例がより長く継続した場合、時間の経過とともに増加する可能性があります。一方、自動車保険と火災保険においては、現時点で保険金請求が減少しています。損害保険と所得補償保険への総合的な影響は小さいと予想されますが、これは政府による措置の継続期間、進展状況、内容に依拠します。
- 医療保険分野では、新型コロナウィルスの結果として、選択的ケアの需要が減少し、病院やICUへの入院率が高くなっています。しかし、総請求額は、パンデミックの継続期間と程度、そしてセクター全体で合意され現在さらに詳細検討中の対応策の効果に依拠します。
- 年金および生命保険では、ポートフォリオの構成および死亡率リスクを大きく上回る寿命によって、影響は限定的です。
- 国際およびその他の活動への影響は販売高の減少に限定されており、その商業的影響はパンデミックの期間と程度に一部依拠します。
アクメアは、同社の事業分野が多様なことから、パンデミックの結果にはプラスとマイナスの両方の影響があると述べました。アクメアは、慎重な投資方針と堅実な資本ポジションを組み合わせて、この危機を乗り切ることができる強い立場にあると考えています。
昨日の2回目のプレスリリースにおいて、アクメアが7億5,000万ユーロ(約885億円)のシニア無担保債券を無事に発行したことが明らかにされました。この債券は期間7年(償還日2027年5月26日)で、2020年11月に償還を迎えるクーポン2.5%の7億5,000万ユーロ(約885億円)のシニア無担保債券の返済に充てられます。
今回の債券のクーポンは1.5%で、7年物スワップ金利の仲値を185bp(1.85%)上回る価格設定となっています。S&PとFitchからBBB+の格付けを取得し、ユーロネクスト・ダブリンに上場される予定です。この債券は、HSBC、MUFG、Société Générale、NatWest Markets、ING、ABN Amroからなるシンジケート団によって発行が行なわれました。
アクメアで理事兼最高財務責任者を務めるMichel Lamie 氏は、「この起債は人気で、発行額の2倍以上の応募がありました。100以上の投資家がこの債券を購入しました。このことは、投資家がアクメアを信頼していることを改めて示しています」と述べました。
※ 文中の金額は1ユーロ=118円で換算