インドにおけるICMIF5-5-5「ダーン・ファンデーション」プロジェクトのおかげで、いまや低所得の地域社会において53万世帯以上が相互扶助のマイクロインシュランスの保障対象となりました。これは、世帯平均5人で計算した場合、約265万人が保障されたことになります。
この画期的な出来事は、ダーン・ファンデーション(DHAN Foundation/以下、「ダーン」)が、自らがサービスを提供する低所得の地域社会に対して新型コロナウィルスのパンデミックが及ぼす悪影響を軽減するのを助けるべく闘う中で達成されました。ダーンのプロジェクトは現在、ICMIF会員20団体によって財政支援あるいは技術支援の形で支えられており、当プロジェクトにおける一人当たりの保障にかかるコストは0.62米ドル(約65円)です。
ダーンの新型コロナウィルスとの闘い
ダーンの迅速かつ強力なコロナへの対応行動は、インドの14州において地域社会レベルで行われています。ダーンの価値観は、地域社会レベルでの草の根の行動に根差しており、自らが奉仕する低所得の地域社会を支援するためのコロナ対応は即時に着手され、救済策の推進、教育の取り組み、州および中央政府の金融包摂プログラムに対する人々の権利の促進などが含まれます。
ダーンの支援活動は、主に「都市部」、「農村部」、「沿岸地域」、「部族コミュニティ」の4つの主要地域に集中しています。
都市部
インドの人口は13億人で、インドの都市はテンポが速く密集した場所であり、新型コロナウィルス蔓延のホットスポットとなっています。ダーンは、このパンデミックにおいて、都市部での出稼ぎ労働者の苦しみが特に深刻であることを確認しました。これらの出稼ぎ労働者は、その収入を家事労働者や建設労働者としての日給に依存する脆弱なグループであり、しばしば都市のスラム街に住んでいます。ダーンは、提携組織と協力して食料品、個人用防護具(PPE)、テレサービス、医薬品を提供することにより、多くの出稼ぎ労働者家族のセーフティネットとして機能しています。
農村部
インドの農村への新型コロナウィルスの感染拡大は、主に村民が自分の村から遠出することが少ないことから、それほどではありません。しかし、新型コロナウィルスの全国への蔓延を阻止するため実施されたロックダウンの影響は、これらの地域社会の暮らしを脅かしています。農家は作物の収穫に依存していますが、輸送手段がないため農産物を販売することができません。農業労働者は日々の仕事に依存していますが、農家が農産物を売ることができないため、現在その仕事は無くなっています。これに加えて、食糧不足と将来の雇用機会がどうなるかわからないことへの心理的影響があります。これらの地域における州および中央政府の金融包摂プログラムに対する、人々の権利を促進するためのダーンの取り組みは最も重要です。
沿岸地域
農村部と同様に、沿岸地域の低所得者は、ロックダウンにより漁業が禁止され、海産物を市場に運ぶ輸送手段も無いことから、暮らしが急速に苦しくなりました。家計は現在、州および中央政府の金融包摂プログラムに完全に依存しており、ダーンはこれらの地域に住む会員がこれらの権利にアクセスできるように支援しています。
部族コミュニティ
インドの山岳地帯の部族コミュニティの人々は、年間4〜6か月間、国内の他の場所に出稼ぎするのが一般的です。ロックダウンが実施され、大多数の雇用主が彼らが地元から立ち去ることを望む中、出稼ぎ中の部族民は現在立ち往生しています。しかし、彼らが立ち去った場合、食料や避難所を失うことになります。ダーンは、地域社会のリーダーの支援を得て、他の州に閉じ込められている出稼ぎ労働者世帯と定期的に連絡を取り、彼らの健康を把握するとともに交通手段の手配に関する可能な限りのあらゆる情報を提供しています。
ダーンには、会員向けの教育の取り組みを支援するために活用する以下のようなリソースがあります。
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- 新型コロナウィルス意識向上ソング:オンラインやソーシャルメディアのプラットフォームを通じて配信され、また、地域のラジオ局で放送されています。
- 新型コロナウィルス行動変容コミュニケーションポスター:SUHAMチームと開発コミュニケーションセンター(CDC)は、タミル語の13枚のポスターを初めてリリースしました。
- 「開発について話す」ビデオシリーズ:シニアなDHANの同僚、地域社会、有志がメッセージと新型コロナウィルスと闘うための対処メカニズムを提供する、YouTube上のビデオコレクションです。
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ダーンはこれまでに、地域全体の新型コロナウィルスの感染拡大に対する評価と、感染拡大へのダーンのアプローチについての2本のレポートを作成しました。これらのレポートを読むには、こちらをクリックしてください。
パンデミック下でダーンが提供している支援の詳細については、こちらもご覧ください。
ICMIFは2016年6月に、既存のICMIF会員が活動する5か国で相互扶助のマイクロインシュランスを拡大するために 5-5-5相互扶助マイクロインシュランス戦略(「5-5-5戦略」)を立ち上げました。最終的には、金融教育、リスク削減、手頃な価格のニーズに基づいた保険商品を提供することにより、地域社会の回復力の強化と保険に加入できる人口の拡大を目指します。