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ICMIFブログ記事から:アクメアが重視する鍵は有能な人材と実績、そして人材開発 – アクメア(オランダ) グループ人事ダイレクター エリー・プルーメン(Elly Ploumen)氏

アクメアAchmea)社のグループ人事ダイレクターであるエリー・プルーメンElly Ploumen)氏(写真)によるこのゲストブログは、オランダの保険団体VNABが発行する雑誌「Visie」の人事特集号に掲載されたインタビューを基にしています。このブログ記事でプルーメン氏は、アクメアが慣れ親しんだ人事評価と報酬体系をどのように手放したか、そして才能と実績、人材開発が、今やいかにアクメアが人材を定着させ、皆が学び仕事を楽しむ能力を高める上での中核となったのかについて説明しています。このブログ記事をICMIF会員と共有することを許可していただいたプルーメン氏とVNABに感謝します。
This guest blog from Elly Ploumen, Group HR Director at Achmea is based on an interview published in the magazine Visie – this time with a focus on HR – from Dutch insurance organisation VNAB.  In the blog, Elly explains how Achmea let go of the organisation’s familiar assessment and reward structure and how talent, performance and development became central to how the organisation now retains talent and increases people’s ability to learn and enjoy their work. We would like to thank Elly and VNAB for their permission to share this blog with ICMIF members here.

 

アクメアは2019年から新しい実績管理の方法を取り入れています。従来の実績評価と報酬体系は時代遅れとなり、現在では有能な人材、人材開発、実績が私たちのいわゆるTOP(*)プログラムの中核となっています。保険会社としてリスクは回避したいのですが、慣れ親しんだ制度をあえて手放したのは素晴らしいことだと思います。

私たちを取り巻く世界は急速に変化しています。これは私たちの仕事にも影響を与えます。2017年に、私たちは使用していた実績評価・報酬体系が当社に合わなくなったことに気付きました。その手法を用いて、年初に職員が上司と目標について合意し、年央に評価を行い、年末に評定を実施していました。しかし、私たちはその頃既に、たとえば短期のプロジェクトを遂行するアジャイルチームを抱えていました。そのため、年初に職員と行なった合意は、数か月も経てば古くなってしまうことがしばしばでした。

  フラストレーション

既存の体系を疑問視するもう一つの理由がありました。調査によれば、7割の人が他の人に比べて自分の実績が優れていると思っていますが、職員の7割が実際には「普通 ~ 良」としか評価されていません。当然のことながら、これは多くの人や人事部門で働く私たちにとっても不満につながります。管理職と部下の職員が年末に行なった実績評定は、大抵何らかの形のフラストレーションをもたらしました。昇給の可能性を評定とリンクさせると、評定スコアへの注目度が高まり、そのため多くの職員は評定スコアそのものは覚えているものの、実績をめぐって行なわれた対話は覚えていませんでした。

それで、人事部の同僚たちと私は代替案を探し始めました。人材開発や実績に関する職員との対話は、もはや給与にリンクされなくなり、仕事の絶え間ない変化に対応するようになりました。会社は変化に適応できるように組織化される必要があります。ですから、私たちは適応力の高い職員が必要です。ある人は他の人よりも速くかつ簡単に変更を受け入れます。しかし、私たちはここ数か月間で、誰でも適応できるのだということを直接的に経験しています。新型コロナウイルスのパンデミックのため、3月中旬に私たちは全職員を在宅勤務とすることを一夜で決断しました。職員の安全を守るという決断を下すことができ、誰もが変化に適応してくれたことは本当に素晴らしいことでした。

2017年以降、実績評価の新たなアプローチに関して、複数の実験がさまざまなチームで実施されています。アクメア労使協議会(Achmea Works Council)はこれに重要な役割を果たし、労働組合も参加しました。優秀な人材、人材開発、実績のオランダ語の略称である「TOP」プログラムは、2019年の初めに導入されました。このプログラムにより、私たちは実績、学習能力、仕事の満足度を向上させたいと考えています。私たちは、これら3つの目標の範囲内で、共通する要素として実験で浮かび上がった6つの枠組みを策定しました。各チームは、これらの枠組みと独自の人材開発計画に沿って、目標をどのように達成するかを決定することができました。しかし、それは延期することはできず、TOPには義務が伴います・・。

6つの枠組みは次のとおりです。

1. TOPは、関係者全員による短期間の対話です。
2. 職員は、実績および人材開発の目標とプロセスを自らコントロールすることができます。
3. 少なくとも年に一度、人材開発と実績に関する反省対話が行われます。
4. 私たちは将来を見据え、欠点ではなく才能に注目します。
5. 各チームは、自分たちの働き方に合ったフィードバックのやり取りに最良の方法を選択します。
6. マネジャーはコーチングの役割を担っています。

また、枠組みの説明を充実させるためには、職員一人ひとりの自律と自己実現が非常に重要であると考えています。上司が最初に方向性を設定し、その後、個々の職員が同僚や上司と共に、目標に対する個人的な貢献について話し合います。こうした対話は理想的には年に数回、短い業務サイクルで仕事をするアジャイルチームではほぼ6週間ごとに行われます。職員が自らを振り返り、自分が何を達成し学んだかを示し、それを上司と話し合います。TOPプログラムにおけるマネージャーの役割は、指示よりもむしろコーチングです。

  人材とフィードバック

私たちは、すべての人には才能があるという原則を尊重し、個人の資質に焦点を当てています。職員には、自らの才能を認識し、一層の能力開発の意欲を持ってもらいたいと考えています。TOPプログラムのおかげで、職員は、研修コースをフォローし、新しい事柄やスキルを試し、自分の職業知識を最新の状態に保ち、お互いの経験から学ぶことで、才能をさらに伸ばすことができるとわかっています。

さらに、TOPプログラム内でのフィードバックのやりとりが不可欠です。チームはその方法を自由に選ぶことができます。私たちは、社内から非常に肯定的な反応を得ています。フィードバックプロセスに伴う給与への影響はもはやないため、これまで以上に価値のあるフィードバックが提供されています。

コロナウイルスにより誰もが在宅勤務を強いられているにもかかわらず、ここ数か月においてフィードバックプロセスが継続していることを確認することができました。私は以前は、フィードバックを提供するために人との物理的な面談が必要だと常に思っていましたが、バーチャルな面談を通じてオンラインで行なうことができることがわかりました。個人的には、同僚と歩きながらキャッチアップのための素晴らしい会話をたくさんしてきました。それはとてもうまくいっているので、事務所に戻ることができたら、私はそれを続けるつもりです。

  実践(DO!)

アクメアは、「DO!」プログラムにより、あらゆるツールを通して新しい学び方、実績、評価について習得できるよう職員を支援しています。マネージャーには、「個人コーチ」としてのマネージャーと「チームコーチ」としてのマネージャーの2つの必修研修コースがあります。さらに、誰もがあらゆる種類の研修コース、ワークショップ、短期のインターベンションを利用することができ、経験はイントラネットや「DO!」プログラムのアンバサダーを通して共有され、フィードバックに役立っています。今年の初めに3,000人の職員「DO!」に登録し、その多くが現在アンバサダーでもあることを誇りに思います。

  モチベーション

給与に関する話し合いが評定から切り離されたことを非常に嬉しく思います。調査によれば、金銭的な報酬が増えても、それが継続的なモチベーションの向上にはつながりません。古典的な評定面接はやる気を起こさせるものではなく、誰もがそれで終わっていました。ですが、止めることもまたかなりエキサイティングでした。保険会社としてリスクを回避したいところですが、あえて信頼できる制度を手放したことを誇りに思います。

アクメアは現在、固定された昇給段階を使用しており、ボーナスは並外れた実績に対してのみ与えられます。私たちは、適正な賃金による雇用の観点から、公平なパッケージを持っています。何か特別なことを成し遂げた職員は、今では他の方法で評価と認知を受けています。例えば、会議で褒められあるいはプレゼンテーションの機会が与えられることは、その一方法です。また、週間「トップ職員」賞を設けているチームもあり、お客様からの肯定的な反応はイントラネットに掲載されています。

  お気に入りの雇用者

2019年にアクメアは、オランダの高学歴者を対象に実施されたイメージ調査で、保険部門においてお気に入りの雇用者に選ばれました。TOPプログラムがこの結果に影響を及ぼしたかどうかはわかりません。しかし、TOPプログラムはアクメアの雇用スタンスにぴったり合っていると確信しています。私たちは階層的な組織ではありません。しかし、人びとが優先されることとなるコーチングとリーダーシップの奨励について私たちは信じています。

TOPプログラムの最初の結果は、私たちが昨年行った選択は正しいものであったという確信を裏付けるものです。評定をめぐるフラストレーションは無くなりました。昨年は、昇給を標準化した新手法が順調に進みました。また、四半期ごとに職員に実施している「参画調査」では、2019年に入ってから「実績」「学び」「働きがい」のスコアが上昇しています。

 

*「TOP」はオランダ語の「Talent、Ontwikkelen en Presteren」(英語でTalent(人材)、Development(人材開発)、Performance(実績))の略
インタビュー出典:Martin Veldhuizen for the Dutch VNAB(Vereniging Nederlandse Assurantie Beurs

 

ICMIFサイトの英語blog記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

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