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AFA保険(スウェーデン) 新型コロナウィルスが仕事、環境、健康、リーダーシップに及ぼす影響に関する新規研究プロジェクト5件に資金を提供

スウェーデンの ICMIF会員である AFA保険AFA Försäkring)は、450万の人たちとその家族・親族の職場でのセキュリティを実現しています。同社は、疾病、労働災害、仕事の不足、死亡、育児休業などが発生した場合の財政支援を行う保険を提供しており、それは労働市場において労働協約の一部となっています。AFA保険はまた、より良い職場環境と健康に貢献する数多くの研究開発プロジェクトを支援しています。

同社の労働、環境、健康の研究分野の枠組みの中で、AFA保険は今月初めに継続中のコロナ禍の影響に関するさらなる研究に資金を提供していると発表しました。資金提供を受けた5件のプロジェクトは、「テレワーク」、「パンデミックがクリーニング店の作業環境に及ぼす影響」、「高齢者ケアにおける作業環境」、「医療・歯科治療における物の表面での感染の拡大」に関して研究するものです。これまでにAFA保険は、この分野の23件の研究プロジェクトに投資しており、年末にかけてさらなるプロジェクトが予定されています。

AFA保険で研究開発部長を務めるヘレナ・ジャーンケ(Helena Jahncke)氏は、「今や、感染拡大は第二波に入っており、パンデミックの影響に関する研究を優先させることが非常に重要だと感じています。そのため、新型コロナウィルスが職場環境、健康、リーダーシップに及ぼす影響に関する他の5件のプロジェクトに資金を供与中です」と述べています。

「コロナウィルスは、何らかの形で我が国の労働市場や労働者に影響を及ぼしています。私たちが支援を行なう研究が、職場生活に役立つことを心から望んでいます」と彼女は語ります。

これまでに、この分野で計23件のプロジェクトに資金が供与されました。これまでに資金提供を受けた23件の研究プロジェクト(新型コロナウィルスが職場環境、健康、リーダーシップに及ぼす影響に焦点を当てた研究)のすべてに関する情報は、AFA保険の研究開発ウェブサイトに掲載されています。

ヘレナ・ジャーンケ氏は、「AFA保険のコロナ関連研究資金への申し込みは締め切られました。興味深い事に関心が非常に高く、予想よりもはるかに多くの申し込みがありました。現在資金提供を受けているプロジェクトは6月に申し込まれたものですが、年末までにさらなるプロジェクトに資金を提供できればと思います」と述べています。

以下は、直近の決定ラウンドにおいてAFA保険から資金提供を受けたコロナ関連プロジェクト5件のリストです。

スウェーデン生まれと外国生まれの人の労働環境、健康、平等に対する外部危機の影響:クリーニング店の事例研究

労働市場における平等は、持続可能性と社会正義に不可欠です。現在、スウェーデン生まれの人と比較した外国生まれの人の労働条件に関する研究と、社会的危機が平等に及ぼす影響についての知見が不足しています。新型コロナウィルスの流行によって組織を再編した企業において労働環境、健康、平等が受けた影響についての研究は、経済の減速と危機がもたらす可能性のある課題について知見を深めることができます。

イェブレ大学のジェニー・ジャクソン(Jennie Jackson)氏は、112万4千クローナ(1,349万円)を供与され、病院の洗濯物を扱うクリーニング店において、新型コロナウィルスがどのように職場組織、身体的・心理社会的な労働環境、健康、平等に影響を与えたかを調査しました。この研究には、パンデミックの結果としての組織と労働環境の変化が、男女間で、そして外国生まれとスウェーデン生まれで同じであったかについての実証も含まれます。

このプロジェクトは2022年9月まで実施され、危機に関連する組織の変化と、それが労働環境、健康、平等に及ぼす影響について知見を深めることが期待されます。その結果は、クリーニング業界、産業全般、その他の多文化的な職場、および医療分野以外で感染リスクにさらされている専門職において有用であると期待されます。

新型コロナウィルスのパンデミック時のテレワークと心理社会的な健康

新型コロナウィルスのパンデミック時、多くの雇用主は感染の拡大を最小限に抑えるために、スタッフに在宅勤務をするように促しました。特に在宅勤務経験のない従業員にとってテレワークへの移行は、幸福感や生産性に影響を与える可能性があります。管理職にとっては、離れた場所にいる従業員の労働環境に責任を持つことは困難な可能性があります。テレワークへの移行が心理社会的な健康と仕事のパフォーマンスに与える影響に関する研究は、テレワークに関する新たな知見を提供することが可能です。

メーラルダーレン大学のアデスワ・オモレデ(Adesuwa Omorede)氏は、パンデミックの期間中の管理職および従業員のリモート勤務の経験を研究するために、200万クローナ(2,400万円)を供与されました。この研究は、心理社会的な健康、幸福、ワーク・ライフ・バランス、生産性に焦点を当てるものです。

本プロジェクトは2022年9月まで実施され、パンデミック中のテレワークへの移行およびそれに伴う新しい労働条件が、管理職および従業員の心理社会的な健康および仕事のパフォーマンスにどのように影響したかについて、知見を提供することが期待されます。その結果が、将来の健康的で生産的なリモート勤務に貢献することが期待されます。

新型コロナウィルス・パンデミック時に特別養護老人ホームおよび在宅ケアで勤務した看護・介護職員の経験

国がパンデミックに対処する能力は、医療システムとスタッフのスキルと仕事への意欲に大きく依存します。これまでの研究から、エピデミックやパンデミック時の医療従事者は、不安、ストレス、うつ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)で苦しむ可能性があることが分かっています。新型コロナウィルス・パンデミック時の看護師や医療補助者の医療経験を研究することは、危機発生時の医療業務の組織化の方法についての知見を深める一助となります。

メーラルダーレン大学のアニカ・ラベンマルク(Annica Lövenmark)氏は、新型コロナウィルスに関連して、看護師や医療補助者による特別養護老人ホームや在宅サービスでの高齢者ケアの経験についての研究に219万8千クローナ(2,638万円)が供与されます。本研究は、主にスタッフの身体的および心理社会的な労働環境、健康、安全、リーダーシップ、支援、そして将来の危機的状況のための戦略とツールについての経験に焦点を当てています。

本プロジェクトは2023年12月まで実施され、新型コロナウィルス・パンデミック時の高齢者介護業務に関する知見の提供が期待されています。その知見が、高齢者ケアにおけるより良い労働環境、健康、リーダーシップのための支援策、戦略、ツールの基礎を形成することが期待されています。その結果は、他の医療従事者にも役立つ可能性があります。

自発的または非自発的な在宅勤務:それが労働衛生にどのような影響を与えるか?

デジタル技術によって、特定の職務に就くスタッフは職場にいなくても業務が遂行可能になりました。新型コロナウィルス・パンデミックの間、スウェーデンの当局や雇用主は、感染拡大を最小限に抑えるために自宅で働くことができる人はそうすべきであると勧奨しました。テレワークが健康にどのような影響を与えるかについての今日の知見は、主に自主的なリモート労働の研究に基づいています。今回の新たな非自発的なテレワークが労働環境と健康に与える影響の研究は、テレワーク全般に関する新しい知見の獲得に貢献するはずです。

イェブレ大学のマリーナ・ハイデン(Marina Heiden)氏は、事業会社や地方自治体の労働者がどのように身体的および心理社会的な労働環境を経験しているかを調査するために259万9千クローナ(3,119万円)が供与されました。この研究には、テレワークが生産性、ワーク・ライフ・バランス、幸福感に及ぼす影響の検討などが含まれます。

このプロジェクトは2023年9月まで実施され、自主的なテレワークと比較して、非自発的なテレワークが労働環境と労働者の健康にどのように影響するかについて新たな知見を提供することが期待されています。その結果、将来においてテレワークに関する勧奨が変更される可能性があります。

病院環境における物の表面に存在する新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、SARS-CoV-2というウィルスが原因です。このウィルスは、感染者が咳やくしゃみをしたときの飛沫や、人の手を介して広がります。ウィルスは感染者の周りの物の表面に蓄積し、医療従事者にリスクをもたらす可能性があります。SARS-CoV-2が医療環境においてどのように拡散しているかについての知見が増せば、より良いルーチンと防護具に貢献し、それによって医療スタッフの感染を減らすことができます。

ルンド大学のエリック・セネビー(Erik Senneby)氏には、新型コロナウィルス感染症の患者を治療する際に、病院や歯科治療の環境の中でどのような物の表面にSARS-CoV-2ウィルスが蓄積するのか、そして蓄積すれば感染するのかを調査するために、25万クローナ(300万円)が供与されました。この調査では、空気中および物の表面上のウィルスの関係を調査し、ウィルスが職員の作業服や防護具に蓄積するかどうかの検証なども含まれます。

このプロジェクトは2021年7月まで実施され、新型コロナウィルス感染症患者の入院および歯科治療中にSARS-CoV-2が物の表面にどのように蓄積するかを明らかにすることが期待されています。この結果は、感染経路および衛生ルーチンに関する知見の向上をもたらし、医療および歯科治療における労働環境のリスク評価のためのより良い基盤に寄与すると期待されます。

※ 文中の金額は1スウェーデン・クローナ=12円で換算

 

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

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