コスタリカは、地球上で最も環境に配慮している国のひとつとして知られ、毎年の国連の世界幸福度調査で一貫して上位にランクされている中央アメリカの国であり、いまや新たに「インクルージョン(包摂)と保険へのアクセスに関する規制」を整備し、国の監督当局SUGESEを率いるトマス・ソリー・ペレス(Tomás Soley Pérez)氏によれば「より発展し包摂的な市場の構築における新たな金字塔を打ち立てつつある」国でもあります。
2020年8月24日にコスタリカ金融システム監督全国評議会(CONASSIF)によって承認されたこの新たな規制は、金融教育を強化し、国内の金融包摂を高めるというSUGESEの戦略の成果です。この規制の第1条には、「当規則の目的は、自家保険(autoexpedible insurance)に適用される原則、要件、およびその他の規制条件を定義することで、適切な水準で保険消費者を保護しつつ保険市場への包摂とアクセスを促進することである」と定められています。
自家保険は、契約条件が単純であり消費者が理解しやすいため、(加入前に)販売チャネルからの専門家のアドバイスが必要とされず、SUGESEの商品登録にその旨が登録されている保険の種類です。
この新規制に至るプロセスでは、保険アクセス・イニシアティブ(A2ii)の手法に基づく診断テストと、ブラジル、チリ、コロンビア、ガーナ、メキシコ、パナマの法制とベストプラクティスのレビューなどが行なわれました。
その結果、次のような特徴を備えた最新の包摂的保険規制が実現します。
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- 原則主義と比例原則(プロポーショナリティ):コンプライアンスの実証は保険会社の責任
- 明確さとシンプルさ:事業者と消費者が理解し易い
- アクセスの容易さ、革新性、利便性、保険会社の責任の強化、消費者の適切な保護のそれぞれの間のバランス
- 差別化:商品のライフサイクルのすべてのフェーズ(開発、販売、プロモーション、アドバイス、定型化、サービス、保険請求および苦情の処理)における最適で差別化されたビジネス行動、および定性的・定量的特性に基づく包摂的保険の定義
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新規制はとりわけ、恣意的で根拠のない保険金の支払い拒絶、過度に複雑な手続き、保険金請求や要望への非応答または注意の欠如、法定期限内の無対応、約款や保険契約の写しの不送達といった、消費者が一般的に提起する問題に対処します。
この規制には、助言的仲介よりもむしろ販売に着目して非伝統的なチャネルを規制するという追加的なメリットもあります。包摂的保険商品は、保険会社、保険仲介会社、保険代理店会社、保険募集人、自家保険事業者が直接販売することができます。
しかし、最も重要なことは、コスタリカの保険監督官であるトマス・ソリー・ペレス氏が述べているように、「今後、対象となる消費者は、保険は贅沢なものではなく必需品と見なされるべきことに注意する必要があります。」
コスタリカには、COOPENAE、Seguros del Magisterio、Sociedad de Seguros de Vida del Magisterio Nacional、Unisegurosの4つのICMIF会員が存在しています。
ラテンアメリカとカリブ海諸国の中で、アルゼンチン、ブラジル、コスタリカ、メキシコ、ニカラグア、ペルー、ベネズエラが包摂的保険に関する特定の規制を施行しています。
保険監督者国際機構(IAIS)は広義の包摂的保険を、「単に貧困者または狭義の概念の低所得市場のみを対象とした保険商品ではなく、除外されている、または十分なサービスを受けていない市場を対象とした全ての保険商品を指す」(「包摂的保険の事業行為に関する論点書」、2015年11月)と定義しています。