スウェーデンのICMIF会員であるレンスフォーシェクリンガー(Länsförsäkringar)は、気候リスクを管理し、パリ協定の気候目標に適応した投資を行なうことを長期目標として、2019年から温暖化防止に貢献するビジョンを追求してきました。
レンスフォーシェクリンガーは先月、新たに気候関連のファンドを立ち上げ、石油・ガスの探査と採掘に積極的な企業への投資に対する新規の気候関連の除外基準を発表し、これに向けてさらなる一歩を踏み出しました。
温暖化防止に貢献するビジョンを採用して以降、レンスフォーシェクリンガー自体のファンドと投資ポートフォリオは、パリ協定に準拠し、2030年までの地球の気温上昇を1.5℃以内に抑えるのに寄与する炭素排出量水準を備える必要があります。
グローバル気候指数ファンド(Global Climate Index Fund)は、レンスフォーシェクリンガーのフォッシルスマート(FossilSmart)ファンドをさらに発展させたもので、現在その名称を変更しています。このファンドは、近年立ち上げられた一連の持続可能性指向のファンドの中で4番目となります。
このファンドは、気候面を考慮したベンチマーク指数に沿って運用され、拡張された気候関連の除外基準に従い、気候にプラスの影響を与える商品やサービスを提供する企業を支持することにより、他のインデックスファンドよりも高いレベルの持続可能性を備えています。
「さらに多くの人びとに気候に関した貯蓄ができるようにしたいと私たちは考えており、この種の貯蓄の選択肢への関心が高まっていることを理解しています。このファンドは、従来のグローバルインデックスファンドと比較して、いわゆるソリューション企業により多く投資することにより、持続可能性の向上に貢献します。ソリューション企業は、代替エネルギー源や環境技術など、気候フットプリントを削減する商品やサービスの開発に取り組んでいます。このファンドでは、ソリューション企業の割合を旧ファンドのフォッシルスマートと比較して4%から26%に増やしています」と、レンスフォーシェクリンガーの資産運用部門であるレンスフォーシェクリンガー・ファンドマネジメント(Länsförsäkringar Fondförvaltning)で持続可能性マネージャーを務めるソフィア・オーリン(Sofia Aulin)氏(写真)は述べています。
グローバル気候指数ファンドについて
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- 当ファンドは化石燃料(化石燃料の採収と生産)を除外します
- 当ファンドは二酸化炭素排出量の多い企業を除外します
- 当ファンドはMSCIと比較してソリューション企業の割合が高く、どの会社がソリューション企業であるかを評価します
- 当ファンドはMSCIの定義によるソリューション企業の割合が高く、ベンチマークインデックスの3%に対し、現在26%となっています
- グローバル気候指数のカーボンフットプリントは、MSCIワールド・インデックスのカーボンフットプリントより80%低くなっています
- 当ファンドはレンスフォーシェクリンガーの通常の除外リストに従います
- 当ファンドは運用手数料を0.7%から0.6%に引き下げます
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温暖化防止に貢献するビジョンに向けたもう一つのステップとして、レンスフォーシェクリンガーは、レンスフォーシェクリンガー生命(Länsförsäkringar Liv)、ファンドライフ(Fondliv)、Sakの運用するファンドおよび投資ポートフォリオから、石油・ガスの探査と採掘に積極的な企業を除外する新基準を発表しました。
「地球温暖化を制限するには、化石燃料の使用を大幅に削減する必要があります。化石燃料企業への投資は気候リスクであり、経済リスクでもあります。気候協定に沿って事業の再構築を始めた石油・ガス企業はほとんどありません。さらに、それらの企業には、大きく価値毀損する恐れがありそのためいわゆる『座礁資産』となりかねない資産を保有しているリスクがあります」とオーリン氏は言います。
新基準により15社がレンスフォーシェクリンガーの投資資産から外され、さらに220社以上が投資対象企業から除外されることになりました。レンスフォーシェクリンガーは従来、化石燃料の採収と石炭でのエネルギー生産を主に行っている90社以上を除外していました。
「私たちはすでに2015年には石炭企業からの段階的撤退を開始し、それ以降は、化石燃料企業が抱える財務および気候関連のリスクの結果として、それらの企業への投資残高を徐々に減らしてきました。エネルギー部門の多くの企業は、価格競争の結果だけではなく、ウィルスの発生に関連した需要減退の結果として、長期にわたり損失を出し、あるいは利益率を低下させてきました。世界指数は長年、エネルギー部門の企業よりも優れた伸びをしてきました」と責任投資部門の責任者であるクリストファー・ドライマン(Kristofer Dreiman)氏は述べています。
「化石燃料企業に関する基準の導入と並行して、気候へのプラスの影響と社会変革におけるビジネス機会に基づいて森林関連の企業に投資することを選びました。私たちの温暖化防止に貢献するビジョンに伴う作業の次のステップは、企業の事業における気候効率に基づいて、企業への投資残高を最適化するための基準を開発することです。」
気候関連の新規の除外基準
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- 石油・ガスの探査と在来型手法による採収からの売上高が50%を超える企業
- 石油・ガスの非在来型手法による抽出(オイルサンド、フラッキング、石炭からのガスの抽出など)からの売上高が5%を超える企業
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気候関連の既存の除外基準
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- 石炭からの売上高が5%を超える鉱山企業
- 焼却炭からの売上高が5%を超えるエネルギー企業。ただし、事業を再構築していると判断された特定の企業(いわゆる転換企業)は除外されるため、企業がパリ協定に沿った目標を設定したり、再生可能エネルギーからの売買高が化石燃料を上回ったりしている場合には、焼却炭からの売上高が最大20%までのエネルギー企業に投資が可能
- 石油埋蔵量と生産量の大きな企業で、当社との意味のある政策提言活動のための条件が不十分であると判断される先
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化石燃料の排除は、レンスフォーシェクリンガーが重点を置く7つの国連持続可能な開発目標(SDGs)の1つである、目標13「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」にも貢献しています。