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レポート

協同組合・相互扶助組織が他企業の業績を上回りオーストラリアの回復の鍵であると2つのレポートが示す

昨年末、オーストラリアのICMIF会員である協同組合・相互扶助団体事業協議会BCCMThe Business Council of Co-operatives and Mutuals)は、オーストラリアの協同組合・相互扶助セクターの競争上の優位性に関する2つの新しいレポートを発表しました。

新レポート「回復力をリードするLeading the Resilience)」は、オーストラリアの協同組合・相互扶助企業が新型コロナウィルのひき起こした混乱にいかに対応したかにつき洞察を示し、他の重要な所見の中でも特にビジネスの存続に関して、協同組合・相互扶助企業の業績の優位性についてのエビデンスを与えてくれます。一方で、「2020年全国相互扶助経済レポートNational Mutual Economy Report)」は、協同組合・相互扶助企業がオーストラリア経済に与える影響の大きさに関する最新情報を更新して提供します。

  コロナ禍における協同組合・相互扶助組織

BCCM最高経営責任者(CEO)のメリーナ・モリソン(Melina Morrison)氏は、「回復力をリードする」のレポートは、協同組合・相互扶助企業CME)の経済および地域社会への貢献が危機時の安定要因であることを示していると語りました。

「『回復力をリードする』は、CMEセクターのトップ企業のCEOとのインタビューから得られた、新型コロナウィルスの課題を通じた協同組合・相互扶助組織の経験についての魅力あるレポートです」とモリソン氏は述べています。

「CMEは、共通の課題に焦点を当てた中小企業および個人の強みと、はるかに大規模な企業の到達力とを組み合わせ、ローカルな課題とグローバルな課題のいずれに対しても調和した対応を提供します。2020年は、持続可能性と長期性に焦点を当て、CMEがなぜ回復力に富んだオーストラリア経済の支柱であるかについて示してくれました。」

コロナ禍に対応して協同組合・相互扶助組織は次の対応を行ないました。

      • 回復を助けるために自らのバランスシートから投資を行ない、ベイル・アウトではなくベイル・インを行なった
      • 大量解雇を実施するのではなく、再配置を通じて従業員を維持するために最初から戦略的に動き、雇用を維持した
      • 会員、顧客、スタッフのためにメンタルヘルス戦略を実施した

「本来の事業目的に焦点を当て続けることは、明らかに事業の寿命を延ばすことにつながり得ます。それは、スタッフと会員の両方に、より前向きで安全かつ安定した体験を提供します。さらに、上場企業に比べ株式市場の変動にさらされていない事業セクターの活動を通じて、より広範な経済のリスクを軽減します。」

レポートによると、CMEはオーストラリア証券取引所(ASX)に上場する同業他社よりも25%長生きです。

モリソン氏は、2020年において協同組合・相互扶助企業は、経済的困難の時期にあっても、ビジネスモデルの回復力とそれが会員およびより広範なオーストラリアの地域社会にもたらす利益を証明し続けたと述べました。

「社会的回復力が、災害に耐え回復する地域社会の能力であるとするならば、CMEが私たちの回復の基本部分であることは当然です。なぜならば、彼らはその奉仕する地域社会にまさに組み込まれ、そして所有されているからです。」

相互扶助組織 RACQ のCEOであるデビッド・カーター(David Carter)氏は、当レポートのインタビューで次のように述べています。「困難な時期には、適当なビジネス用語がないのですが『お金を稼ぐこと』、それ自体は経済合理性のあるソリューションなのですが、と『社会全体の利益』との間の適切なバランスについて考える集団的な義務があると私は考えます。」

「カーター氏の考え方は、私がこの時期に私たちの会員組織と交わした会話の典型です。財務の安定性と成功を確保しながら、最大限の人に長期的な利益をどのように提供していくか、提供できるかという問題は、CMEと株式会社の真の違いを反映しています。」と、モリソン氏は言いました。

  協同組合・相互扶助組織がコロナ後の回復の鍵に

メリーナ・モリソン氏は、2020年全国相互扶助経済レポートの発表に触れ、国が2021年に経済を再建しようとする中、協同組合事業と経済的回復力との強いつながりは無視できないと述べました。

「今年の全国相互扶助経済レポートによると、2019年の上位100のCMEの売上高合計は339億豪ドル(2兆7,120億円)と前年比6.3%増加しました。これは、レポートの対象期間にオーストラリア経済が減速した状況下では印象的な結果です」とモリソン氏は述べました。

「現在私たちは、そのデータ記録時点と比べ非常に異なった競争環境の下で活動していますが、パンデミックを通じたCMEの回復力に関するレポートである『回復力をリードする』と併せて読むと、私たちの経済の未来がどのようになるかについて説得力のあるストーリーがここにはあります。」

「レポートのデータは、CME経済の規模、幅広さ、強さを明らかにしています。歴史的にCMEはその地元で成長し、その周囲に完全なエコシステムを創り出し、そのサプライチェーン、他の地元企業、地域社会に長期的な雇用と繁栄をもたらします。」

「近年のパンデミックと気象危機の両方によって非常に大きな打撃を受けたこれらの地域への影響は甚大です。労働慣行が変化した結果としての反都市化の進展に直面し、私たちの地域社会は今後数年間で大きく変化することが予想されます。CMEは、地域ベースの事業を構築する方法を同時に提供しています。」

「全国相互扶助経済レポートは、ほぼすべての業界でCMEが存在感を示し、大規模な株式会社と競争し、経済的価値をローカルに保ちながらグローバル市場に関与していることを示しています。コロナ禍の長い影の中で、私たちの事業および経済における正統性が私たちを太陽の下に引き戻してくれるかどうか考慮する価値はあると、私は思います。」

 「回復力をリードするLeading the Resilience)」レポートをお読みください
 「2020年全国相互扶助経済レポート(National Mutual Economy Report)」をお読みください

※ 文中の金額は1豪ドル=80円で換算

 

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

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