アントニオ・グテーレス(António Guterres)国連事務総長は、気候に対する「ネットゼロ資産保有者アライアンス(Net-Zero Asset Owner Alliance)」の取り組みの重要性をこれまで何度か強調してきました。最近、フォルクサム(Folksam)の最高経営責任者(CEO)で、ICMIF理事会メンバーでもあるユルヴァ・ウェッセン(Ylva Wessén)氏が会合に招待され、より持続可能な世界への移行における金融業界の役割について話し合いました。
スウェーデンのICMIF会員であるフォルクサム(Folksam)は、責任ある資産運用を行なってきた長い伝統があり、ネットゼロ資産保有者アライアンスを創設した組織の1つでした。このアライアンスには、5.1兆米ドル(540.6兆円)を超える資産を運用している合計33のオーナー組織が集まって、2050年までに投資ポートフォリオの温室効果ガスの排出量をネットでゼロにするという共通の目標を掲げています。
「気候変動は世界にとって大きな課題ですが、しかし同時に、われわれの時代の大きな経済的機会の1つです。化石燃料フリー経済にはテクノロジーおよびイノベーションが新たに必要であり、そして、この移行は明らかに今後数年間で資金を必要とするでしょう。これは、良いリターンを得るための良い機会を意味し、まさに私たち投資家が利用するべき機会です」とウェッセン氏は言います。
この会合でグテーレス事務総長は、投資家が新しい取り組みと決定、そして金融業界ひいては経済全体でネットゼロに到達するための実施スピードにいかに影響を与えられるかについて強調しました。
投資家がより明確に戦略と目的に影響を与え、実施された投資を通じて圧力をかけることができるようにするためには、企業からの透明性の高い気候戦略と明確な目標が必要です。
「ネットゼロ資産保有者アライアンス内で行っているように、気候変動に貢献するよう私たちは協力して企業に圧力をかけることができます。それには、投資家としてだけでなく、立法府や市民社会を代表するすべての組織と協力する必要があります。設定された気候目標を達成するには一緒にならなければなりません」とウェッセン氏は言います。
会合の後、グテーレス事務局長は、ここ数か月に行われた数多くのネットゼロへの取り組みの約束を受けて、33組織からなるネットゼロ資産保有者アライアンスを、「究極の判断基準」であると言及しました。
会合の詳細は国連のウェブサイトでご覧ください
※ 文中の金額は1米ドル=106円で換算