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レポート

AMベストの特別レポート:EIOPA(欧州保険・企業年金監督局)のソルベンシーII 提案は極めて特定の制度改革を目指すもの

 

ソルベンシーIIが5周年を迎え、欧州委員会は同制度の今後数年間の運営を決める見直しを進めています。ICMIF協賛会員メンバーであるAMBベストAM Best)による最新レポート、「極めて特定の制度— EIOPAのソルベンシーII見直し勧告」は、EIOPA(欧州保険・企業年金監督局)が出したソルベンシーII改革提案のいくつかを検証し、欧州の保険会社への影響を概説しています。

欧州委員会がソルベンシーIIの変更を進める中、AMベストは、取り上げられる問題の1つが、長期ゾーンで使用する割引率であると予想しています。EIOPAの提案はしばしば非経済的なそれらの割引率の性質を改めることから始まると、このレポートでAMベストは強調しています。保険会社は、規制に定める「終局フォワードレート(Ultimate Forward Rate)」から導き出された率を使用しています。割引率を引き下げるというEIOPAの提案は、特にドイツとオランダの生命保険会社にとって、ソルベンシーIIの下で利用可能な自己資本を減少させる顕著な影響があるものと予想されます。

ただし多くの保険会社にとって、割引率の変更による影響はEIOPAが提案するリスクマージンの改定によって相殺され、これにより長期契約の規模が大幅に縮小されます。

英国のデータはEIOPAの作業から今後は除外されますが、英国の年金保険の会社はこの提案でリスクマージンが20%以上減少し、それに伴い利用可能な自己資本が増加すると、AMベストでは予測しています。これは、同じく現在進んでいる英国のソルベンシーII見直しが、そのような懸念を検討した場合に、リスクマージンへの独自のアプローチにおいて同様の懸念による制限を受ける可能性が低いことを意味します。

欧州委員会は、EU全体で国家保険保証スキーム(IGS)を統一するべきというEIOPAの提案も検討する予定です。保険会社が破綻した場合に保険契約者に補償する国家保険保証スキームは、国ごとに運営されています。AMベストは、ある程度の統一性がなければ自国内の保険契約者を保護しようとする各国の監督当局の行動によって集団的な監督が弱まる可能性があるため、この提案が成熟した集団的ソルベンシー監督システムの里程標になると見なしています。

EIOPAの勧告が実施された場合、制度が複雑になるという欠点があるかもしれませんが、AMベストは、この提案が保険会社の経済状況を提供する方向にソルベンシーIIをやや近づける始まりとなると考えています。

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AMベストの信用格付基準調査・分析担当ディレクターであるトニー・シルバーマン(Tony Silverman)氏が当レポートについて説明しているAMベストTVのビデオを見るには、ここをクリックしてください。

 

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

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