ウィリス・タワーズ・ワトソンの再保険部門の、ICMIFの賛助会員であるウィリス再保険(Willis Re)が発表した「1stViewレポート」(1st View renewals report)によると、2021年4月1日に完了した再保険の更改は、再保険リスクの引き受け枠が再保険市場全体に十分あり、免責条項に関する交渉に実質的な問題がなかったことから、再保険価格はほぼすべてのクラスと地域で堅調に推移しました。
2020年の自然災害による保険損害額が平均を上回ったにもかかわらす、4月1日に更改されるほとんどの財物の巨大災害による損害超過額再保険プログラム( property catastrophe excess of loss programme)は、ほとんど損失のない年となりました。一部の損害保険会社の不動産にかかる1リスクに対する再保険プログラム(per-risk programmes )では、災害以外の損失の頻度と深刻さ悪化の影響を受け、再保険価格の上昇とプログラムの再構築を行いました。
特に、一定期間の累計保有損害額が予め設定された金額を超えた場合に再保険金が支払われる再保険契約(Aggregate cover)では、再保険者がこれらの口座を一時的な損害から遠ざけるために、再保険価格よりもプログラムの構造に注目が集まりました。長期間にわたって再保険金の請求・支払いが発生するロングテールライン(Long-tail lines)、特に損害超過額(casualty excess of loss)再保険は、低い投資収益率に対処する再保険者からの価格圧力の高まりに直面しました。
パンデミックおよび損害保険の約款において明示的に保障されておらず免責の対象ともされていないサイレントサイバー(Silent cyber)の免責条項は、1月1日時点に設定されたアプローチに従い、標準条項と、一部の再保険者は元の保険契約の文言に合わせて作成されたカスタマイズされた文言を組み合わせました。
保険リンク証券(ILS)の投資家からの需要は、特に公募債によるリスクの引受け枠に対する需要が強く、全体的な価格上昇を緩和する要因になりました。
ウィリス再保険のグローバルCEOであるジェームズ・ケント(James Kent)氏は、次のように述べています。「2020年の再保険市場の状況は、1月1日以降あまり変化がなく、その結果、重要な4月1日の再保険契約更改では出再者と再保険者の間で同じようなことが繰り返されました。投資収益の減少、前年の準備金取り崩しの減少、COVID-19の支払い準備金の増加、自然災害と人為的損害の頻度と深刻度の変動性の増加という世界の再保険セクターが直面する課題を示しています。しかし、再保険者の2020年の業績は、COVID-19の支払い準備金を調整すると、基礎となるコンバインド・レシオが改善を示しており、再保険リスク引き受け枠と価格設定に対する買い手の差し迫った懸念が緩和され、秩序ある再保険契約の更改につながりました。」
レポートをダウンロードする:「Willis Re 1st Viewレポート」は、世界の主要な再保険クラスおよび地域全体の主要な傾向に関する具体的な解説を含む、年3回の発行物です。
ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。
掲載日付2021.4.1