スウェーデンのICMIFメンバーであるフォルクサム(Folksam)は、このほど、同社の投資ポートフォリオについて、気候変動に関する新しい2025年目標を発表しました。この目標では、株式、社債、不動産からの気候フットプリントが29%削減されます。排出目標は、主に、現在保有している株式に関連し、企業の排出量削減に影響を与えることで達成されます。さらに、フォルクサム・グループはグリーン投資の可能性を促進するための新しい目標を採用しています。
フォルクサムは、2019年にニューヨークで開催された国連気候サミットで設立された「国連が認めた温室効果ガス排出量を正味ゼロ・アセット・オーナー・同盟BUN-Convened Net Zero Asset Owner Alliance)の7つの創設メンバーの1つです。同盟(Alliance)のメンバーは、2050年までに投資ポートフォリオの温室効果ガス排出量を正味ゼロにすることを約束しています。 同盟には現在30社を超えるメンバーが参加しており、その投資ポートフォリオの総額は50兆SEK(649兆5千億円)に達しています。フォルクサムが2021年3月末に発表した目標は、正味ゼロ排出量への道のりにおける最初の暫定目標です。
「私たちは、お客様が持続可能な世界で安心できるように、気候変動に取り組んでいます。2050年までに排出量を正味ゼロにするという私たちの目標は野心的ですが、それだけでは十分ではありません。同じように野心的な中間目標に分割し、信頼できる計画とリンクさせ、定期的にフォローアップしていく必要があります。お客様の5,000億SEK(6兆4,950億円)をもとに、新しい中間目標に向けて取り組み、パリ協定の目標に沿った投資ポートフォリオの再構築に貢献するという長期的な取り組みを継続します。」と、フォルクサムの社長兼最高経営責任者であるイルバ・ウェッセン(Ylva Wessén)氏は述べています。
2025年のフォークサムグループの新しい気候目標と同盟での活動全体には、実体経済における温室効果ガス排出量を削減するという明確な野心が含まれています。これを達成するために、フォルクサムは、気候変動に対してより大きな責任を負うよう、所有する企業に影響を与える試みを計画しています。2025年までに、フォルクサム・グループの投資ポートフォリオの排出量の多い86社のうち、少なくとも50%が科学的根拠に基づいた気候目標を設定することを目標としています。
「フォルクサム・グループが保有する企業の中でも、特に気候変動への影響が大きい企業において、気候変動への取り組みが戦略的課題の重要場部分を占めるようにしたいと考えています」と、フォルクサムのアセットマネジメント・サステナビリティ部門の責任者であり、副CEOのマイケル・ケラー(Michael Kjeller)氏は言います。「実体経済における温室効果ガス排出量の大幅な削減は、一朝一夕にできるものではありません。したがって、強力な提言活動は、今後数年間の私たちの活動の重要な部分になるでしょう。」
科学的根拠に基づく気候目標を掲げる投資先企業の増加に加えて、フォルクサムは、株式、社債、不動産におけるGHG排出量を2025年までに29%削減するという定量的な気候目標も採用しています。目標は主に提言活動を通じて達成されますが、ポートフォリオ企業がパリ協定の目的に沿って事業を再構築する十分な意思や能力を示さない場合には、売却が必要になることもあります。さらに、フォルクサムは、プライマリーマーケットのプレーヤーとの緊密な対話を通じて、とりわけグリーン投資の可能性を促進するという目標を掲げています。
FolksamGroupの気候目標2025
影響
フォルクサムは、グループの投資ポートフォリオの中で温室効果ガス排出量が最も多い121社を特定しました。2025年まで、フォルクサム・グループは、総会や直接会談、その他の提言活動を通じて、自らの独名前で、あるいは他の企業と協力して、リストに掲載されている企業が気候変動に関連する報告や目標を徐々に改善するように働きかけていきます。
フォルクサム・グループの既存の気候影響イニシアチブの対象となっている企業は、排出量が最も多い121社のリストから削除されました。その後、残りの86社は、現時点での気候変動に関する目標や報告ののレベルに応じて4つカテゴリに分類され、各カテゴリにサブ目標が設定されました。しかし、全体的な目標としては、これら86社の少なくとも50%の企業が、2025年までに科学に基づく目標イニシアチブ( Science Based Targets Initiative)またはそれに相当する組織によって承認された、科学的根拠に基づく気候目標を採用しなければなりません。現在、その数値は23パーセントです。
排出削減
フォルクサムは、二酸化炭素換算の排出量を2025年までにさらに29%削減するという新しい目標を掲げて、2019年に行われた活動を続けています。対象となる資産クラスは、株式、社債、不動産です。フォルクサムは、この目標は主にそれぞれの資産を対象とした提言活動を通じて達成されなければならないとしています。同時に、フォルクサム・グループが影響力を繰り返し試みたにもかかわらず、パリ協定の目標に沿って適応する十分な意思や能力が見られない場合、売却が必要になる可能性があります。
グリーン投資の利用可能性を促進する
2025年までのフォルクサム・グループの目標は、グリーン投資の選択肢の利用可能性を促進するために、プライマリーマーケットの発行者や他のプレーヤーとの関係をさらに発展させることです。これは、とりわけ、将来の投資商品の持続可能性との関連を明確にし、プライマリーマーケットのより多くのプレーヤーに気候適応戦略の作成を促すために、直接会談や提言活動を通じて達成されます。
※ 文中の金額は1スウェーデン・クローネ=12.99円で換算
ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。
掲載日付2021.4.30