6月1日付および7月1日の再保険契約更改において、ほとんどの主要な種目および地域で再保険料率の上昇が続きましたが、多くの場合、再保険者は当初の見積もりを下回る確定発注条件を受け入れなければなりませんでした。ICMIF賛助会員のウィリス再保険( Willis Re)の最新レポート(1st View renewals report)によると、再保険市場は均衡に近づいていることを示しています。
再保険会社の第1四半期の業績が良好であったこと、巨大災害による損失が全般的に低水準だったこと、再保険料の増加、投資結果が良好であったこと、COVID-19関連の経済的圧力からの力強い景気回復が相まって、価格設定の勢いを維持するために再保険会が最大の努力をしたにもかかわらず、再保険料率の上昇は緩やかだったとレポートは述べています。全体としての再保険引受け資本は需要を満たすのに十分すぎるほどでしたが、再保険会社はトップラインの収益を競う誘惑に負けてしまい、業績の悪いクラスの再保険引受けは制限されていました。
レポートによると、インフレ懸念やCOVID-19に関連する損害の動向は再保険価格に影響を与えず、不動産の更新は横ばいまたは緩やかに上昇しました。傷害保険では、価格や補償範囲の変更に一貫性がありませんでした。例外として、出再手数料(ceding commissions)が基礎となる料率や契約条件の変更により直接的に反応しました。
巨大災害債(キャットボンド)市場の勢いは衰えず、2021年の第2四半期に約60億米ドル(6,645億円)の新規発行が行われ、2019年に発行された新規キャットボンド発行総額を上回りました。大きな投資流入により発行手数料が縮小し、新たなキャットボンドの発行が促されました。
WillisReのグローバルCEOであるジェームス・ケント(James Kent)氏は次のように述べています。「世界の再保険市場は均衡に向かっています。再保険者は、増加する資本基盤を提供する回復力のある投資家に支えられ、顧客が期待し、必要とする長期的なサポートを提供するために強固で有利な立場にあります。これらの顧客は、安定した幅広い再保険市場の価値を認識しているため、ほとんどの場合、引き続き料率の上昇を認めています。しかし、私たちは、現在はサイクルの頂点に差し掛かっており、急激かつダメージの大きい料率の低下が起こる可能性は低いと考えています。むしろ、COVID-19や前年度の賠償責任保険の損害額の全体像がまだ明らかになっていないことから、再保険市場は過去数年間で達成したバランスを維持するためにその規律を保つと思われます。」
レポートをダウンロードする:Willis Re 1st Viewレポートは、世界の主要な再保険クラスおよび地域全体の主要な傾向に関する具体的な解説を含む、年3回の発行物です。
※ 文中の金額は1米ドル=110.75円で換算
ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。
https://www.icmif.org/news_story/global-reinsurance-approaching-equilibrium-willis-re-1st-view/
掲載日付2021.7.6