ロイヤル・ロンドン(イギリス)は、チェンジメーカーズ・キャンペーンを立ち上げ、イギリスとアイルランドにおける金融回復力の構築を支援するために、10社の社会的企業に資金提供することを発表しました。
同社の最新調査によると、パンデミックによってイギリスの経済的な弱さが劇的に増加し、1,590万人*(30%)が、2020年3月の時点よりも経済的な弱さを感じていると回答しています。
それらのうち、3分の1(33%)は収入の減少を理由にしており、5分の1(19%)はパンデミックの際に貯蓄が不足していることを理由にしていました。他の理由としては、借金の増加(13%)、生活費を支払う余裕がないこと(11%)などが挙げられています。
経済的な回復力を高めることは、収入の不確実性の影響を軽減し、パンデミックだけでなく、予期しない事態で経済的に対処するためのクッションを提供します。将来のことを考え、生活環境の変化に経済的に対応できる場合では、イギリスでは6人に1人(16%)が「非常に経済的な回復力がある。」と答えており、男性(20%)の方が女性よりも高い傾向にあります(12%)。
イギリスにおける経済的回復力向上を支援するために、ロイヤル・ロンドンは「チェンジメーカーズ・プログラム」を立ち上げ、3年間で150万英ポンドを拠出して、回復力をを向上させ、病気や離婚、収入の変化などのライフ・ショックから身を守るための大胆で革新的なアイディアを生み出した社会的企業を支援しています。社会的企業の73%は、不利益に直面している個人と直接取引きしており**、有意義な変化をもたらし、ビジネスを良い方向に導くことができる強力な立場にあります。
ロイヤル・ロンドンは、School for Social Entrepreneurs(SSE)と協力して、チェンジメーカー10社を選定しました。チェンジメーカーとは、人々の経済的な回復力を高めるための独自の対応策を提供する社会的企業です。ロンドンのパン屋で難民に持続可能な雇用を提供するなど、チェンジメーカーはすでに変化をもたらしています。
選定されたチェンジメーカー:
- Flank
- Page & Bloom
- The Growing Club CIC
- Before I Go Solutions
- Breadwinners
- Money A+E
- Pocket Power
- Jobs for Family Carers
- Easy As 123 Limited
- Rosetinted Financial Services C.I.C.
ロイヤル・ロンドンの消費者金融スペシャリストであるサラ・ペネルス(Sarah Pennells)氏は、次のように述べています。「パンデミックが何百万人もの人々の経済的回復力に影響を与えていることを知っているからこそ、このようなチェンジメーカーに投資することが重要なのです。社会的企業は、自分たちが解決しようとしている問題について、実際に経験したことがあるか、あるいは関連して経験したことがあるかのいずれかで、変化をもたらすための情熱を持っています。私たちは、これらの社会的企業が真の変革をもたらすすことができると信じています。財務的な回復力を高めるための新しい方法を模索している人々を支援できることを嬉しく思います。」
低所得の若者が友人や家族に借りたお金を返済するのを支援する「Flank」の創設者であるCJ.タイエ(CJ Tayeh)氏は、次のように述べています。「経済的な不安をめぐる最大の俗説は、経済的な面だけで現れます。請求書の支払いや食料品の購入に苦労している人々の生活に浸ってみると、彼らはメンタルヘルスや仕事の見通し、栄養状態などにも苦労していることに気づきます。これは、金銭的な介入だけでは十分ではないことを意味します。公営住宅や仮設住宅に住む若者たちとの経験から、経済的な支援は社会的・感情的支援の中に組み込まれる必要があることがわかりました。「Flank」はこれらの洞察を、トラウマ情報に基づいた設計とAIテクノロジーを使用して展開し、すべての人に公平で優しいクレジットを提供します。」
*英国、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの人口の推定– 2021年6月発表。
**危機の資本主義?:社会的企業の現況調査(2019年)
※ 文中の金額は1英ポンド=150.53円で換算
ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。
掲載日付2021.8.24