ICMIF賛助会員のEYが発表した新しいレポートは、相互保険会社は、目的主導型の戦略、会員中心主義、価値創造、社会的責任を通じて差別化を図ることができると述べています。
「EYグローバル相互保険市場スキャン(EY global insurance mutual market scan)」では、世界の相互保険市場の検証に続き、相互保険会社と協同組合保険会社が株式会社と一線を画す点を明らかにしています。
EYの検証によると、相互保険会社は保険市場全体の重要かつ成長している部門であり、業界で最も有名で成功したブランドであることがわかりました。EYが「ミューチュアル」と呼ぶ相互保険会社は、株式保険会社よりも資本力が優れ、わずかながら高い成長率を示していますが、保険契約者に配当金を行っているのため年によっては損失を計上することもあります。
株式会社の戦略的優先事項が変化しているように、相互保険会社もまた、急速に高まる会員の期待、新たな競争上の脅威、破壊的な技術など、保険業界全体で最重要課題に直面している、とEYは述べています。
相互保険会社や協同組合保険会社にとって最も重要な課題を理解し、株式会社との違いを明確にするために、EYは2020年に相互市場の広範な調査を行いました。具体的には、あらゆる規模と種類の相互保険会社が、差別化と成長を加速するために目的主導の戦略をどのように考案し、運用化しているのかを調べました。確かに、目的と長期的な価値創造が業界全体にとって戦略的に不可欠となっている時代に、相互保険会社がユニークな立場にいるとEYは考えています。
このレポートを振り返り、ICMIFのショーン・ターバック(Shaun Tarbuck)事務局長は、「相互扶助の差別化は、ビジネスの長期的かつ持続可能な性質のすべてです。それは、会員のためだけでなく、顧客、社会、従業員そして私たちが影響を与える利害関係者のために目的をもって行動することです。この中で我々は競争に先んじていると思います。」と、述べています。
EYは世界中の35以上の市場でベンチマーク調査を実施し、EYの保険プラクティスの上級幹部を中心に140人が調査に参加しました。また、EYグローバル相互保険市場スキャン調査では、成熟した10相互保険市場と50以上の相互保険会社の市場パフォーマンスを詳細に分析しました。
EYによると、今回の調査は、保険契約者と会員の結びつき、財政的利益、コミュニティ志向、付加価値サービス、ガバナンスと資金調達構造、保険との差別化、ポートフォリオ戦略と革新など、相互保険業務の枠組みとして機能する分野に焦点を当てています。
この調査により、EYは相互保険会社と株式会社を区分する4つの原則を明らかにしました。
- 目的主導の戦略は、収益性よりも長期的な思考と価値を優先する。
- 会員中心主義を実現するためには、標準的な顧客の結びつきとは異なるモデルが必要である。
- 中心会員と周辺会員の区分に関する価値創造は、成長と変革に不可欠なものである。
- 地域社会や十分なサービスが受けられていない層の人たちの社会的・経済的変化はブランドと目的の基本である。
これらの原則は、ダイナミックでテクノロジーを駆使し、目的を持った未来の保険業界での成功を収めるための相互保険会社の戦略的な行動指針を示しています。EYの記事は、こちらをクリックしてください。パニート・チャトリー(Puneet Chattree)氏による「EY Global Insurance Mutuals Network Leader」と「EY Canada Insurance Pension Strategy & Business Consulting Leader」の記事は、4つの原則を探り、調査に基づいてEYが開発した相互扶助成熟モデルについて説明しています。また、最近開催されたEYウェビナーでは、150人以上の保険会社幹部が参加し、調査結果やパネルリストのコメントが発表されました。このウェビナーの録画視聴を希望されるICMIF会員は、ICMIFまたはお客様の地域のEY担当者に連絡ください。
2021年4月、ICMIFはEYが賛助会員になったことを発表しました。この新しいパートナーシップにより、ICMIF会員は、デジタルトランスフォーメーション、税務サービス、取引やIFRSの実装に至るまで、EYの知識、専門知識、サポートを活用することができます。
EYの詳細については、ICMIFウェブサイトのメンバーページをご覧ください。
ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。
掲載日付2021.9.7