2021年上半期の世界の再保険会社の業績は好調で、資本基盤はさらに拡大し、ヘッドラインの保険引受成績とROE(Return on Equity,自己資本利益率)は堅調に推移しました。ICMIF賛助会員のウィリス再保険(Willis Re)が発表した最新の再保険市場レポートによると、基礎となるROEはそれほど高くないものの、顕著な改善が見られました。
世界の再保険業界の資本総額は、2021年1~6月期に6,880億米ドル(75兆5,699億2,000万円)をとなり、2020年12月31日から4%増加しました。この増加は、主に好調な純利益によってもたらされました。良好な格付け環境のなかで、オーガニックな成長を促進するために、再保険会社は近年では通常よりも多くの収入を確保していました。
再保険会社は、2021年上半期に15%という非常に高い保険料の伸びを達成しました。加重平均のコンバインド・レシオは94.1%で、これは2016年から2019年の半期に報告された数字とほぼ一致しています。今年のこれまでのところ自然災害が異常に多いにもかかわらず、この比率はCOVID-19の影響を受けた2020年上半期の104.1%から劇的に改善しています。報告されたコンバインド・レシオは、2017年以降に見られた準備金取崩しの減少傾向から反転し、わずかに高い水準の引当金取り崩しからも恩恵を受けました。
2017年以来着実に改善が続く自然災害の損失は2021年上半期も続き、保険料の大きな伸びが費用の伸びを上回り、2020年上半期の98.6%から98.4%に低下しました。コストの上昇を相殺する以上に急速な保険料の伸びは経費率を低下させ、コンバインド・レシオの改善を支えました。
平均ROEも、投資収益率の向上に助けられ、力強く回復しました。報告されたROEは昨年のマイナス0.7%から13.9%に回復し、基礎となるROEは2倍以上に増えて6.3%に達しました。それにもかかわらず、基礎となるROEは依然として業界の資本コストを下回っています。
ウィリス再保険のグローバルCEOのジェームズ・ケント(James Kent)氏は、「この結果を受けて、再保険会社は安心しています。業界はここ数年、COVID-19の悲惨な経験に圧倒され、低水準の業績に甘んじてきました。今、再保険会社が取り組んできた改善策が実を結びつつあります。」
「しかし、残念ながら、今年上半期の保険料の伸びは、サイクルの軟調な時期に比べて分それほど低下していないコンバインド・レシオを背景に達成されたものであるため、基礎となるROは依然として資本コストを下回っています。」と、述べています。
レポートをダウンロード :「 ウィリス再保険市場レポート」は、年2回発行の、再保険市場の規模とパフォーマンスの詳細な分析を提供する刊行物です。分析は、ウィリス再保険インデックスのグループに基づいています。2021年のグループは、世界の43社で構成されています。
※ 文中の金額は1米ドル=109.84円で換算
ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。
掲載日付2021.9.10