NAMIC( National Association of Mutual Insurance Companies:全米相互保険会社協会)とエーオン(Aon)は、第4回市場分析レポートを発表し、相互保険会社のパフォーマンス、構造、視点が他の保険会社とどのように異なるかを理解するための新たな一歩を踏み出しました。
最新のレポート「相互扶助の要因2021:パフォーマンス、構造、および視点が相互保険会社をどのように区別するか(Mutual Factor 2021: How Performance, Structure, and Focus Set Mutual Insurance Companies Apart)」では、2020年の相互保険会社の30近くのパフォーマンス指標を他の保険会社のカテゴリーと比較し、格付け機関の基準が相互保険会社に与える影響を評価しています。昨年のレポートと同様に、最新の「Mutual Factor 2021」では、2021年第1~第2四半期のパフォーマンス指標を分析し、独立系保険代理店を対象とした最近の調査結果をまとめています。
NAMICの社長兼最高経営責任者であるニール・アルドレッジ(Neil Alldredge)氏は、パンデミックと激しい暴風雨や山火事のために、2020年は保険業界にとって歴史上最も重要な年の1つとして記憶される可能性が高いと指摘しています。そのため、事業成績に大きな影響が出ることは予想されましたが、データではそのようなことはありませんでした。
「おそらく、「Mutual Factor 2021」で最も驚くべきことは、2020年の業界のパフォーマンスがこれまでのそれほど困難ではなかった年と似ているということです。」とアルドレッジ氏は述べています。「この新しいレポートから得られる最大のポイントは、相互扶助モデルの永続的な成功と、相互扶助の基盤である長期的アプローチの価値です。」
このレポートでは、2021年6月まで、2020年まおよび5年間にわたって、相互保険会社と株式保険会社、業界全体の業績の主要な指標についてのいくつかの違いに注目しています。さらに、このレポートは、格付け機関の基準が相互保険会社に与える影響についても分析しています。
Aonのシニア・マネージング・ディレクターであり、ミューチュアル・プラクティス・グループ・リーダーでのクリス・デルリー(Chris Delhey)氏は、NAMICとの共同作業を振り返って、次のように述べています。
「Aonは、この重要なベンチマーキング・レポートでNAMICとのパートナーシップを継続することを誇りに思います。毎年、これらの調査を精査し、情報やデータを相互保険会社とその指導者にとってさらに役立つものにするための改善や追加を行っています。」
「2021年版は、内容の面でさらに一歩前進しました。収録されているデータや相互保険会社の代理店から寄せられた意見は、保険契約者に明確な焦点を当てた相互互保険市場の力強い成長を示しています。」と彼は続けました。「特に、この1年間の厳しい状況下での相互保険市場の多くの人々の多大な努力の結果が、このレポートにはっきりと表れていることを、嬉しく思います。」
Mutual Factor 2021の主な調査結果:
- COVID-19の間に保険契約者が直面した課題に対応して、保険業界は2020年を通じて約130億米ドル(1兆4,307億8,000万円)の保険料を還元した。相互保険会社は主に保険契約者の配当を通じて61億米ドル(6,713億6,600万円)を還元し、株式保険会社は主に保険料を通じて68億米ドル(7,484億800万円)を還元したと推定される。2021年第2四半期には、相互保険会社の保険契約者配当比率は、パンデミック前のレベルである約1%に回復した。株式保険会社の配当率は、プレミアムクレジットを通じて被保険者に返金されたためパンデミック期間を通じて横ばいであった。
- 相互保険会社は契約者配当比率を高めた結果、引受損失を計上した。2021年第2四半期の相互保険会社のコンバインド・レシオは100.3%だったが、リターン重視の姿勢で運営されている株式会社は95.6%だった。
- 損失と損失調整(LAE)は増加したが、正味保険料の伸びがこれらの損失を相殺したため、保険業界の損失とLAE比率は70.2%と2019年(71.0%)と比較してとわずかに低くなった。 相互保険会社の損失とLAE比率は、2019年の72.5%に対して2020年は70.3%となった。株式会社は、2019年の70.0%と比較して2020年の70.1%とわずかに低くなっている。
- 保険業界のすべての部分において費用比率は前年比で一貫しており、2020年の経費率は、相互保険会社が27.5%、株式保険会社が27.4%であったのに対し、保険業界では27.1%でった。費用比率は、5年ベースでも相互保険会社と株式保険会社で同様の結果となっている。
- 2020年、保険業界の資本金と余剰金は過去最高の9,320億米ドル(102兆5,759億2,000万円)に達し、2019年から7.4%増加した。相互保険会社は8.3%増加し、株式会社は6.7%増加した。剰余金の増加は主に、株式市場の高騰と金利の低下による未実現キャピタルゲインと保険会社の収益の増加に起因している。相互保険会の5年間の複合平均成長率は6.6%で、株式保険会社の5年間の余剰成長率6.4%を上回っている。
- 2021年の前半、AM Bestによって格上げされた保険会社は合計26社であった。そのうち、73%の企業が相互保険会社であった。同じ時期に、格下げされた15社のうち相互保険会社は33%であった。相互保険会社の資本は充実しており、median Best’s Capital Adequacy RatioにおけるVaR 99.6は61%で、株式保険会社の52%よりも9ポイント高くなっている。また、バランスシートの健全性については、株式会社の81%に対して相互保険会社の89%が「最も強い」または「非常に強い」と評価された。
独立保険代理店の調査結果
Mutual Factor 2021では、全国の200の独立系保険代理店を対象に、株式保険会社や他の種類の保険会社と比較した場合の相互保険会社のイメージを調査した。主な調査結果は、以下の通り。
- 独立系保険代理店が保険会社を選ぶ際に使用する6つの重要な基準において、相互保険会社は他社よりも優れたサービスを提供していると認識されている。重要度の最上位の基準で、「代理店とのコミュニケーションが優れている」「保険金の支払いが常に公正である」という2つの指標で高く評価された。
- 独立系保険代理店が相互保険会社をより好意的に認識していることは、相互保険会社の事業にとってプラスとなっている。独立系保険代理店のビジネス・シェアは、株式保険会社の45%に対して相互保険会社は55%となっている。
- もう1つの重要な調査結果として、独立系保険代理店の間で、ほとんどの人口層において株式保険会社よりも相互保険会社の方が良いサービスを提供しているというの認識がもたれている。また、ミレニアル世代、X世代、都市部住民、女性などでは、小規模な保険会社よりも大規模な相互保険会社の方がサービスが優れていると考えられている。
※ 文中の金額は1米ドル=110.06円で換算
ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。
掲載日付2021.9.23