アフリカン・リスク・キャパシティ(ARC）と国連のジェンダー平等・女性のエンパワーメント機関（UN Women）は、災害リスク管理（DRM:disaster risk management）におけるジェンダー平等を促進するための覚書（MoU: Memorandum of Understanding ）に署名しました。
両機関の責任者が署名した覚書にもとづき、両者は、サヘル（サハラ砂漠と熱帯サバンナに挟まれた広大なアフリカの半乾燥地域）およびその他のアフリカ諸国におけるジェンダーと災害リスク管理のためのより強力な政治的関与を追求するために、両機関の影響力を活用して、ハイレベルな支持、コミュニケーション、対話、意識向上、知識開発と共有、および資源の活用に共同で取り組んでいきます。
ARCグループの事務局長で国連事務次長（UN ASG）を務めるイブラヒマ・シェイク・ディオン(Ibrahima Cheikh Diong)氏は、このパートナーシップの重要性を強調し、「自然災害の影響はすべての人々に同様に及ぶものではないことから、包括的でジェンダーに配慮した取り組みを取ることが脆弱な地域社会の回復力を高め、気候変動への順応を促進することができる。」と述べました。
ディオン氏は次のようにも述べています。「災害に性別は関係ありません。その影響はすべての人に同じではありません。したがって、包括的なジェンダー平等は、私たちの活動における横断的な優先分野です。UN Womenとのパートナーシップは、災害リスク管理におけるジェンダーの視点に関する認識を高め、自然災害後の女性と男性の脆弱性レベルを分析するために開発した革新的なツールを最大限に活用することで、加盟国の知識を高めるという共通の目的を達成するために相互に有益であると信じています。」
最近、ARCは、アフリカ連合委員会(African Union Commission)の「農業・農村開発・ブルーエコノミー(漁業などの第1次次産業からマリンスポーツなどの第3次産業、波力発電等の再生可能エネルギー産業等を含む、海洋に関わる全ての経済活動)および持続可能な環境省」の下の「持続可能な環境局」や「ブルーエコノミー局」およびその他のパートナーと協力して、「ジェンダーと災害リスク管理プラットフォーム（GDRMP）」を立ち上げました。このプラットフォームは、加盟国によるジェンダー変革の「保険文化(Culture of insurance) 」の採用に向けて、ジェンダー変革の災害リスク管理アプローチに関する知識の開発と共有、支持、および政策対話を促進することを目的としています。併せて設立された「ARCジェンダー変革基金」は、災害リスク管理におけるジェンダー主流化のための加盟国の能力を高めるために必要な資源を確保することを目的にしています。
UNWomenの西・中央アフリカ地域ディレクターのオウリマタ・サー(Oulimata Sarr)氏は、この地域のジェンダー平等と弱い立場にある人々の権限を高めることの重要性についての認識を高めるために共同で行う取り組みの重要性を強調し、次のように述べています。「自然災害やその他のショックは、女性や少女に不均衡な影響をおよぼし、しばしば生命や生計の大きな損失につながり、脆弱性と貧困のジェンダー化された負のスパイラルをもたらすことが多く、女性や少女は将来のショックと危機に対して不釣り合いなほど弱い立場に置かれています。ARCと力を合わせることで、災害リスク管理対応を計画する際に最高レベルの意思決定者が十分な情報を得られるようにして、女性と少女が政策の中心となるようにすることが重要になります。」
ARCとUNWomenは、自然災害に対する女性と男性の被災状況と脆弱性指標を知ることで、社会経済的回復力、開発成果の向上、被災した人々のためのより持続可能な解決策に向けた準備と対処能力の主要な要因を見極めることができるという取り組みを支持しています。
写真（2021年9月16日、セネガルのダカールでの覚書署名にて。左から右）Oulimata Sarr氏:UN Women、西・中央アフリカ地域ディレクター、Ibrahima Cheikh Diong:UN-ASG、ARCグループ事務局長 、SiakaCoulibaly:国連セネガル常駐コーディネーター。
ICMIFサイトの英語ニュース記事（以下にリンクを表示）を許可を得て翻訳・転載しています。
掲載日付2021.9.28
