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BCCM(オーストラリア)レポートは、災害および復興計画における農業協同組合の役割を強調しています

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BCCMBusiness Council of Co-operatives and Mutuals:協同組合と共済事業評議会)は、オーストラリアの協同組合が2019/20の山火事で被害を受けた地域社会の再建に不可欠な貢献をしたことを受けて、国家の回復力と回復計画に協同組合を含めることを呼びかけました。

致命的な火災シーズンの発生からわずか2年、BCCMが今月初めに発表したレポートは、気候変動が自然災害の発生を増加させているなか、地域社会の回復力を構築する上で協同組合が果たすことができる役割を強調しています。

BCCMによると、協同組合のビジネスモデルはほとんど知られていませんが、地元の協同組合が被災した地域社会に重要なサービスや支援を提供したことで、それが証明されました。

BCCMの最高経営責任者であるメリナ・モリソン(Melina Morrison)氏は、次のように述べています。

「地元の協同組合が地域の災害対応を調整することができた場合、私たちのレポートによると、地域社会は迅速に回復し、場合によっては災害後により強い経済を構築したことを示しています。」とモリソン氏は述べました。

「私たちは山火事が再び発生することを知っています。このレポートでは、協同組合のビジネスモデルをより深く理解することで、地域社会がその脅威に備えるための明確な方法を示しています。COVID-19の健康危機はまた、地域社会の意識と食料安全保障への懸念を高めました。農業協同組合は、災害時に重要なサプライチェーンを確保するのに役立ちます。」

レポート「一次生産者としての協同組合:地域社会の回復力と回復の心臓部」(Primary Producer Co-operatives: the beating heart of Community resilience and recovery)は、災害への対応における4つの協同組合の対応に焦点を当てています。その中には、2019年の山火事からニューサウスウェールズ州の町の復興に貢献した120年の歴史を持つコバーゴ協同組合(Cobargo Co-operative)や、火災の影響を受けたオーストラリアの有機栽培農家に財政面、精神面、専門面の支援を提供しているオリ・コープ(ORICoop)が含まれてます。

「私たちが学んだことが1つあるとすれば、それは、最高の人材と資金を備えた政府機関でさえ、それをすべて自分たちで行うことはできないということです。」とモリソン氏は述べています。「地域社会が対応の中心にある必要があります。」

「電源、インターネット、電話がダウンしたときに帳簿元帳で店を運営した協同組合や、壊滅的なサイクロンの後に農民の生活を守るために、回収された果物からバナナパンを作った協同組合など、このレポートで語られている災害に直面した時の革新と創意工夫は、信頼できるソーシャルネットワークである協同組合や共済団体の特徴を物語っています。」

「協同組合は、助成金や余剰金の地元経済への再投資であろうと、投資の相乗効果として知られています。」とモリソン氏は述べています。

「彼らは彼らの地域社会を代表し、その社会に貢献するためだけに存在しているので、救援機関にとって理想的なパートナーです。レポートは、協同組合がどのように助成金を出すことができ、地域社会への投資が役立つかを示しています。」

モリソン氏は、コバーゴ協同組合が15,000豪ドル(128万3,850円)の助成金を使用してツールライブラリを設置し、非営利団体として必要な工具を地域社会に無料で貸し出していることを紹介しています。

もう1つの事例では、89,000豪ドル(761万7,510円)の現金寄付により、ORICoopがオーストラリアの7つの異なる地域で、山火事の影響を受けた15人の農家が土壌の質を回復して農場活動に復帰すのを支援し、45万豪ドル(3,851万5,500円)相当の価値にしました。

「山火事の際、荒廃した地域社会に寄付したいと考えていた人々は、協同組合が資金を適切に分配する能力があると確信していました。協同組合は地元の知識を持っているので、ニーズに合った解決策を提供できるため、最も困っている人々に優先順位を付けて効果的に支援を行うことができ、寄付者からの不適切な支援の「ダンピング」のようなトップダウンの落とし穴を避けることができました。」とモリソン氏は述べました。

「協同組合は、連帯と信頼という価値観に基づいており、組合員に利益をもたらすことを主な目的として存在しているため、救援資金の投入に非常に効果的です。」とモリソン氏は述べています。協同組合のガバナンスは常に地域に根差しており、説明責任を果たしています。

レポートは、政府に対して、回復プログラムの一環として協同組合にビジネス支援への機会を与えられることや、災害対応や復興計画により深く関与することなど、多くの提言をしています。また、農家や顧客が所有する協同組合の小売業者が存在する地域社会では、彼らが地元の救済や復興支援のための配達パートナーとして優先的に利用されるべきであると提言しています。

「私たちが解決策を探しているとするなら、それは地域社会の中心部にあります。メンバーが所有する企業が地元レベルで静かに活動し、すべての拠点を確実にカバーしています。」

「被災した人々を災害計画プロセスの中心に置き、リスクを理解して地域で管理することが、効果的な復旧の鍵であることが証明されています。これは、協同組合と共済団体が最も得意とするところです。」

緊急管理・国家復興・回復担当大臣であるブリジット・マッケンジー(Bridget McKenzie)上院議員は、BCCMのレポートは、災害復興の効果的な草の根管理における協同組合のビジネスモデルの価値を明確に示していると述べています。

「私たちは国を災害から防ぐことはできませんが、最もリスクにさらされている地域社会がオーストラリアの厳しい気候と共存するために進行中の脅威に対して、より耐性を持つことができるように努力することはできます。」とマッケンジー大臣は述べています。

「協同組合は、オーストラリアの地方および農村部の地域社会が自然災害の被害に対処するのを支援するための戦略を策定する上で重要な役割を果たしています。」

オーストラリアには2,000以上の協同組合があり、そのうち約230が一次生産者の協同組合です。オーストラリアの協同組合と共済団体の上位100社の売上高は328億豪ドル(2兆8,073億5,200万円)を超え、オーストラリア人の10人に8人が少なくとも1つの協同組合または共済団体の組合員です。

※ 文中の金額は1豪ドル=85.59円で換算

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

https://www.icmif.org/news_story/bccm-report-highlights-the-role-of-agricultural-cooperatives-in-disaster-and-recovery-planning/

掲載日付2021.10.29