国際協同組合同盟(ICA)がEuricseの支援を受けて作成した協同組合に関する年次調査レポート「World Cooperative Monitor 2001(WCM2001)」が発表され、部門ランキングで保険が再びトップになり、ICMIF会員団体のIFFCO(インド)が協同組合ランキング・トップ300の1位になりました。
第33回ICA大会(開催地:ソウル、12月1日から3日)のプレイベントとして開催されたICETTセミナー(11月30日)で、ICAとEuricseによって、第10回世界協同組合モニター(WCM)レポートが発行されました。このレポートで、世界最大規模の協同組合と相互会社の経済的・社会的影響を調査し、トップ300ランキング、部門別ランキング、COVID-19からの回復とSDGsの達成への対応についての分析を行っています。プレイベントには、Euricseのイラナ・ゴッツ(Ilana Gotz)、キアラ・カリーニ(Chiara Carini)、ジャンルーカ・サルバトーリ(Gianluca Salvatori)の各氏に加え、Midcounties Co-operative(UK)のチーフバリューオフィサーであるピート・ウェストール(Pete Westall)氏とICA事務局長のブルーノ・ローランツ(Bruno Roelants)氏が参加しました。
2021年は、この年次調査報告書の第10回目の発行にあたり、COVID-19という緊急事態に対する協同組合の反応、復興段階で実施しようとしている行動、持続可能な開発目標(SDGs)の達成をどのように追求しているかについての分析を行っています。
過去10年間にわたってICAとEuricseが実施してきた調査と共同研究は、協同組合運動に自らの位置付けを評価するための重要なツールを提供し、一般市民や政策立案者に向けて世界における協同の重要性を明らかにしました。最近の例として、2019年に発行された「社会開発における協同組合(Cooperatives in Social Development)」に関する国連事務総長報告書では、世界の協同組合部門の規模を強調するために世界協同組合モニターを活用しました。WCMチームは、協同組合の世界に関連するさまざまな問題の調査と深化のために、最近結成された大規模な協同組合のグループである国際協同組合企業シンクタンク(International Cooperative Entrepreneurship Think Thank、ICETT)と緊密に連携しています。
回復のキーワード:持続可能な開発
WCM 2021は、世界の協同組合・相互組織トップ300の経済と雇用データに加えて、2つの重要な世界的課題に特別な注意を払っています。1つ目は、COVID-19が大規模協同組合に与えた影響で、緊急事態への対応や回復段階で実行する予定の行動に焦点を当てています。2つめは、大規模協同組合がSDGsの達成をどの程度追求しているかに関する分析の続きです。COVID-19の影響については、世界中の大規模協同組合に対して29のインタビューを行い、組合員への参加と配慮、および地域社会の注力が、ここ数か月の協同組合の行動の重要なポイントであり、人権、公正な労働、環境の持続可能性、そして持続可能な成長といった2030アジェンダが推進する目標を包含するビジネスモデルのを普及させるための柱になる可能性があることが示されました。。SDGsのセクションで分析されているように、これらの問題はすでに多くの協同組合の議題の中心になっています。
2021年の結果–保険部門が再びリストのトップに
トップ300の協同組合と相互会社は、総売上高が2兆1,800億米ドル(246兆5,144億円、2019年財務データより)であることを報告しています。これらの組織はさまざまな経済部門で活動しており、「保険」(102社)と「農業」(98社)がリストの上位にランクインしています。ICMIFは、ICAの保険部門の組織です。「卸売・小売業」は、ランキングで第3位の経済部門(55社)を表しています。
今年の結果は、世界レベルで、大規模協同組合グループが健闘しており、売上高がわずかに増加しています。売上高に基づくトップ300ランキングでは、大規模協同組合が好調で、部門によって上位にわずかな違いしかありませんでした。表彰台に上がったのは、フランスの2つの金融機関Groupe Crédit Agricole(2019年のFTE従業員数142,675人)とGroupe BPCE(2019年の従業員数105,019人)、ドイツのREWEグループ(2019年の従業員数241,691人)です。トップ300ランキングのほとんどは、米国(75社)、フランス(35社)、ドイツ(31社)、日本(26社)などの先進国の組織です。
一人当たりの国内総生産(GDP)に対する売上高の割合(企業の売り上げ高と国の豊かさの関係を示す)に基づくトップ300ランキングでは、インドの2つの生産者協同組合が1位と3位にランクインしました。ICMIF会員団体のIFFCOとグジャラート協同組合牛乳マーケティング連盟(Gujarat Cooperative Milk Marketing Federation Limited)です。第2位はフランスのGroupe Crédit Agricoleです。
売上高に基づく保険部門のランキングでは、日本生命(日本)が首位、金融サービス部門ではGroupe Crédit Agricoleが首位です。Sistema Unimed(ブラジル)は、教育・健康・ソーシャルワーク部門で首位にランクされています。
ICAのブルーノ・ローランツ事務局長は、次のように述べています。「過去10年間、WCMはさまざまな協同組合部門とその影響力のある分野についての理解を深めるのに役立ってきました。トップ300ランキングに加えて、今年度版には、協同組合がパンデミックからどのように立ち直り、SDGsの達成に貢献する方法を探る2つの章を設けました。調査結果は11月30日にソウルで開催されるICA大会とオンラインで発表され、世界中の代表者が協同組合のアイデンティティを深める方法についての会話に参加します。」
Euricseのサルバトーリ事務局長は、次のように述べています。「この10年間で、WCMは、最大規模の協同組合企業を分析し、理解を深めるのに役立ちってきました。科学的な厳密さに加えて、協同組合が自らの経験を共有することで、この報告書を協同組合運動やその他の分野にとって貴重なツールとなています。」
WorldCooperativeMonitorは、こちらからダウンロードしてください。
※ 文中の金額は1米ドル=113.08円で換算
ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。
掲載日付2021.12.6