AVBOB(AVBOB Mutual Assurance Society)とPPS(Professional Provident Society)の支援により、南アフリカの西ケープ州にある小さな町カリッツドルフ(Calitzdorp)は歴史を塗り替え、これまで長い距離を歩いて学校に通っていた何百人もの地元の子供たちの生活を変えました。
ケープタウン大学児童研究所によると、南アフリカの子供たちの67%が徒歩で学校に通っています。同研究所は、「長距離を歩いて通学する子供たちは、非常に早い起床、遅刻や体力の消耗で、学習能力に影響を受ける可能性があります。長距離を歩いて通学することで、生徒が授業から除外されたり、定期的に学校に通うことが難しくなる可能性があります。
カリッツドルフの住民のヤン・スキャネル(Jan Scannell、通称ヤン・ブライ(Jan Braai))氏と彼の友人のニック・アルベルト(Nic Alberts)氏はこの課題を認識し、アフリカで自転車を寄贈することにより人々が人生を前進させるのを支援する世界的な慈善団体であるQhubekaと連絡を取ることにしました。ブライ氏は、2005年から、ブライ(braai:懇親会とバーベキュー)とサイクリングへの熱意を組み合わせた、ツール・ド・ブライ(Tour de Braai、南アフリカで5日間の日程で行われるサイクリング・ステージ・ツアー)のような様々な取り組みを通じて、地域の団結と改善に尽力しています。
2015年、ブライ氏とNinety One(当時、ICMIF賛助会員であった投資顧問会社)は、町の高校生たちがカリッツドルフから自転車が貰えるように力を合わせて支援することを決定しました。「高校生に自転車を贈れば、通学時間が短縮されるだけでなく、学業により多くの時間を割けることができるようになるため、学業成績も向上します。」とブライ氏は言います。2019年に自転車の大規模な寄贈が始まって以来、生徒の最終学年における退学率はは7.5%から0%に低下しました。最終学年の進級合格率は、56.6%から82.8%に大幅に増加しました。
ブライ氏とNinetyOneの社会的取り組みの成功は、南アフリカ最大の相互扶助団体でICMIF会員団体ののAVBOBとPPS、そして南アフリカの大手金融サービス組織であるAlexforbesが参加するまでに成長しました。各組織は、重複する分野で社会的視点(social focus)を合わせる事で、個々の取り組みのどれよりも強力になることを認識しています。
Qhbekaの自転車寄贈とガムカ-ウース(Gamka-Oos)小学校での最初の図書館開設に加え、パートナーシップに化石燃料による光源を世界から根絶するために努力しているNamene Solarも参加しました。パートナーのNamene Solarの支援により、カリッツドルフの2つの小学校(ガムカ-ウース小学校とエクセルシオール小学校(Excelsior Primary))に通う子供たちと、カリッツドルフ高校にピコ・ソーラー照明(pico solar light、小型太陽照明)を寄贈します。
ピコ・ソーラーシステムは、従来のソーラーシステムよりも小型かつ手頃な価格で、充電したり家を照らしたりするのに役立つ量の電力を供給することができます。
カリッツドルフ高校の寄宿舎には、週末に家に帰ると電気が利用できない生徒が30〜40人ます。ガムカ-ウース小学校の341人の生徒の約90%は、自宅で電気を利用できないか、まったく利用できません。ピコソーラーライトを提供により、照明事情が改善され、空気の質も大幅に改善されるため、自宅での学習条件が良くなり、学習時間の増加、学習者の健康、成績の向上につながります。また、電気、灯油、ろうそく、電池への支出を抑えることができるため、家庭に長期的な節約効果をもたらします。
今年もこのパートナーシップは自転車の寄贈に取り組んでおり、カリッツドルフでQhubeka自転車が行きわたることから、取り組みの効果として、自転車整備士がカリッツドルフに常駐拠点を置くことも可能になります(したがって雇用機会も創出されます)。このパートナーシップを通じて、2022年5月6日、カリッツドルフ高校には201台のQhubeka自転車(この取り組みがこの地域に寄贈した自転車の総数は600台以上になります!)と40台のNameneソーラーライト、ガムカ-ウース小学校とエクセルシオール小学校は各生徒が1台ずつ、計930台以上のNameneソーラーライトが寄贈されました。
ガムカ-ウース小学校の図書館は、The Bookery(識字率向上に取り組むNGO)によってアップグレードされます。上記に加えて、カリッツドルフ高校に通った3人の大学生は、将来の職業専門家になるための高等教育をさらに強化するためにノートパソコンが贈られます。カリッツドルフ高校の2022年度の最終学年の生徒が、2023年に大学に進学する場合、PPS財団は、上乗せ資金とノートパソコンの支援を検討します。この場合、必要な資格基準を満たすことが条件となります。
ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。
掲載日付2022.5.16