世界人口の 10% に相当する 7 億人以上が極度の貧困状態にあり、1 日 1.90 米ドル(259円)未満で生活しています。このような極端な状況で生活する人々にとって、マイクロ保険は生命線になります。そのため、十分なサービスを受けられていない地域社会の回復力を強化し、自然災害と気候変動による生活への影響の軽減を目的とした ICMIF 財団(2015 年に設立) の活動は非常に重要です。
ICMIFアジア・オセアニア協会（AOA）とICMIFが共催したウェビナー「ICMIF5-5-５の成果と教訓から－フィリピンとインドの会員団体からの報告(The ICMIF Foundation – The secret of our success so far…)」で、ICMIFの3団体（RIMANSI(フィリピン)、ダーン財団(Dhan Foundation、インド)、CARD MRI(フィリピン)における活動が報告されました。
ウェビナーでは、RIMANSI (フィリピン) のエグゼクティブ ディレクターであるジュン・ジェイ・Ｅ・ペレス( Jun Jay E. Perez) 氏が、約 1 億人の人口うち2014 年時点で低所得層の 53% がマイクロ保険の対象となっていなかったフィリピンは、マイクロ保険の普及に大きな可能性を秘めていることを報告しました。RIMANSI は、ICMIF の5-5-5 相互マイクロ保険戦略(The 5-5-5 )のプロジェクト パートナーで、過去 5 年間、ICMIF 財団初の相互扶助のマイクロ保険プログラムである 5-5-5プロジェクトを通じて、相互利益団体 (MBA) に 190 万人以上の新規会員を登録し、現在では保険者加入者数が 980 万人以上になっていることを報告しました。財団の金融パートナーのおかげで、プログラム支援金が 500,000 米ドル(6,816万5千円)以上が集まり、１契約当たりの調達コストはわずか 0.27 米ドル(36.8円)、生命保険事故１件あたり 0.05 米ド(6.8円)ドルとなっています。
ダーン財団 (写真) は、インドの先駆的な非政府組織 (NGO) で、5-5-5プロジェクト パートナーでもあります。.彼らの究極の目標は貧困撲滅です。ICMIF 財団と ダーン 財団の協力により、低所得世帯の教育が進み、貯蓄、信用送金、年金、送金について教えることができるようになりました。このパートナーシップは、持続可能な相互保険を目指し、インドの標準である 68 歳までだけでなく、生涯続く保険を提供しています。People Mutuals の最高経営責任者である ダーン財団のアヒラ・デヴィ( Ahila Devi) 氏は、ダーン財団の目的は健全な財政を維持することだと説明します。これは、リスクの一部をバックアップ保険会社に移転し、People Mutuals との再保険契約を活用するこで実現しています。
最後に、フィリピンのCARD MRI(Center for Agriculture and Rural Development Mutually Reinforcing Institutions) の創設者であり名誉会長でもあるアリス・ アリップ( Aris Alip)博 士が、CARD (農業・地方開発ｾﾝﾀｰ)のマイクロ保険について報告しました。CARD MRI のマイクロ保険商品には 3 つのアプローチがあり、まず、CARD MRI グループには、会員が保有する生命保険のCARD MBA(Mutual Benefit Association)、CARDの保険ブロカ－のCaMIA、そしてPioneer(ﾌｨﾘﾋﾟﾝ第3位の保険会社)と CARD が合弁事業として立ち上げた損害保険のCARD Pioneerがあります。CARD MBA は現在、フィリピン最大の相互保険会社で、約 2,700 万人に保障を提供しています。CARD MBA がこの地域の低所得者層に支払った保険金の総額は、2 億 9,100 万米ドルを超え、CARD Pioneer はこれまでに 9,300 万米ドル(126億7,869万円)相当の保険料を販売し、約 4,000 万米ドル(54億5,320万円)の保険金を支払っています。
ICMIF 財団は、ICMIF 会員団体の支援を受けて、マイクロ保険と追加サービスの提供を支援し、世界中の相互マイクロ保険プログラムに関する知識を深めることで、十分なサービスを受けられていない地域の回復力の強化に努めています。
ICMIF 財団とその活動の詳細については、ウェブサイトwww.icmiffoundation.orgをご覧ください。
CMIFサイトの英語ニュース記事（以下にリンクを表示）を許可を得て翻訳・転載しています。
※ 文中の金額は1米ドル＝136.33円で換算
掲載日付2022.7.25
