アフリカン リスク キャパシティ(ARC,African Risk Capacity Limited) は、干ばつやサイクロンなどの気候変動に起因する事象へのアフリカの対処方法を変える可能性を秘めています。アフリカ政府、人道支援パートナー、資金提供者の代表者がマラウイで会議を開き、ARC を通じて提供されるパラメトリック保険がどのような効果をもたらすかについて議論しました。
これは、ARC エコシステムの利害関係者が一堂に会する 2 回目の会議で、アフリカ連合の機関である ARC が提供する保険メカニズムが、アフリカで最も弱い立場にある人々を迅速に支援するために、関係者が過去 1 年間の経験と課題や検討することを目的としています。これは、ARCが約 6,000 万米ドル(79億7,700万円)の記録的な保険金支払いを行った年でもあります。
参加者に向けて、ARC の レズリー・ンドロブ( Lesley Ndlovu)CEO は、アフリカ大陸における ARC の価値について次のように述べました。「ARCの歴史の中で、我々は約1億2,500万米ドル(166億1,875万円)の保険金を支払い、その半分は昨年のプール8に対するものでした。支払った保険金は、アフリカで最も弱い立場に置かれた人々のニーズに応えるために使われるので、私たちは非常に嬉しく思っています。これらの支払いは、保険という仕組みの価値も示しています。」
「さらに、支払われた保険金の約半分が市場によって支払われたということは、ARC がアフリカ大陸で気象関連のリスクを保険市場に移転し、アフリカ大陸で災害が発生したときは世界の再保険市場から支払が行われるということを意味します。ARC のような仕組みを持つことの価値を改めて示しています。」と ンドロブ氏は言います。
この会議では、マラウイ、マリ、マダガスカル、ザンビアの代表者が、過去 1 年間に、ARCの保険仕組みが災害リスク管理プログラムをどのようにサポートしたか、政治的賛同や代替支払いの仕組みの必要性など、学んだ教訓を共有しました。
ンドロブ 氏は、アフリカ政府への支援以外にも、洪水保険やパンデミック保険など、商品の多様化における ARCの取り組みも紹介しました。こ2 日間の会議では、トーゴ、ウガンダ、セネガルの代表者より、各国におけるこれらの保険の試験段階の状況が報告されました。
さらに、ARCが提携国への保障対象範囲を拡大するために必要なのは、マイクロ保険およびメソ保険商品 (ノンソブリン ビジネス) です。コートジボワール、ジンバブエ、マダガスカル、ブルキナファソなどの国々でも、この目的のためにいくつかの仕組みが試験開発されています。
ARCの目標は、保険プログラムへのアフリカ諸国の参加を増やし、ARCをアフリカの災害リスク資本調達の第一人者として位置づけることである、とンドロブ氏は会議参加者に説明しました。
「現在、アフリカ大陸の 55 カ国のうち 13 カ国が参加しています。また、保険料の手ごろさと災害リスク管理における保険の役割への理解への強化という、保険の成長において直面する 2 つの主な障壁を克服できるよう、エコシステムへの参加を懸命に取り組みます。」とンドロブ氏は宣言しました。
また、主要な資金提供者や人道支援パートナーもこの会議に参加し、ARCとの活動を報告しました。USAID、世界食糧計画、スタート・ネットワーク、アフリカ開発銀行、KfW 開発銀行、外務英連邦開発局、スイス開発協力庁、グローバル・アフェアーズ・カナダなどです。
パートナーシップの重要性を強調し、ンドロブ氏は会議を次のように締めくくりました。「アフリカ大陸は気候変動リスクに最もさらされています。ARCは、異常気象の最悪の影響から弱い立場にあるアフリカの住民を守るための解決策を生み出す重要な役割を果たす手段を手にしました。この取り組みを成功させるのは、まさに私たち次第です。」
ンドロブ氏は、ローマ (イタリア)で開催されるICMIF 100 周年記念会議(2022 年 10 月 25 ~ 28 日) の講演者の 1 人です。また、リーダーシップ パネル ディスカッションにパネリストとして参加され、他の ICMIF会員団体 CEO と、ICMIF 会員団体に影響を与える重要な問題や相互扶助/協同組合保険会社が目的志向型の組織として問題を解決する際に果たすことができるリーダーシップの役割について話し合います。
※ 文中の金額は1米ドル=132.95円で換算
ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。
掲載日付2022.8.4