フィリピンの CARD MBA(農業・農村開発相互保険)によると、2017年12月にフィリピンを襲った熱帯暴風雨ウルドゥーハ(Urduja)と台風ヴィンタ(Vinta)の被害を受けた会員メンバーが5万人を超えました。
CARD MBAは、マイクロファイナンスにおけるリーダー的存在であるCARD MRI(CARD Mutually Reinforcing Institutions)の保険部門で、国際協同組合保険連合(ICMIF)に加盟しています。CARD MBAによれば、CARD MRIから被災者に対し約350,000米ドル(約1,800万フィリピンペソ)の災害援助がなされました。
ウルドゥーハとヴィンタ(国際的にはそれぞれ「カイタック」と「テンビン」)は、人命被害を伴う大惨事をもたらしました。まず、12月中旬に熱帯暴風雨ウルドゥーハがミンドロ島、サマール島、レイテ島および周辺地域のCARD MBA 会員を襲い、2週間も経たないうちに台風ヴィンタが、アグサンデルノルテ、アグサンデルスール、ミサミスオリエンタルおよび周辺地域に立て続けに襲来しました。
CARD MRI災害対応委員長のマリリン・マニラ氏は、「被害を受けた顧客の多く(34,000人)はウルドゥーハが襲った地域からです」と述べ、会員とその家族17人が亡くなったことを明らかにしました。
ダバオ市のジェード・バレーに住む CARD MBA会員の主婦ソニア・レイエスさん(53)は、台風ヴィンタにより自宅が破壊されるのを目撃しました。「水かさが急速に増して1階の天井にまで達しました。雨が降り続き、水の勢いはとどまることがありませんでした」
家が壊されたCARD MBA会員の総数は1,773人で、支払保険金額は約50,000米ドル(250万フィリピンペソ)に達しました。
CARD MBA、「8 – 24」請求処理戦略を強化
CARD MBAは最近、大きな災害の発生後8時間から24時間のうちに会員に対し保険金を支払うことを目指す新方針「8 – 24」戦略を発表しました。これは、支払請求から1日、3日または5日以内に保険金を給付するという従前の「1-3-5」戦略からの野心的なステップアップです。今回の二つの災害への対応において、請求の96.5%で「8-24」の目標が達成されました。
「私たちが成し遂げたことは十分に祝福すべきものです。しかし、私たちは前進を続け、所定の時間内にすべての支払請求を処理できるよう最善を尽くします」と、CARD MBAのメイ・ダワト最高経営責任者は語ります。
CARD MRIによる救援努力
CARD MRIは、フィリピンの田舎に住む貧しい女性達に力を与え、貧困削減を促進するために設立されたグループで、銀行やマイクロ保険組織、開発機関などを傘下に持っています。今回CARD MRIは、被災した全ての顧客に提供する救援パックの予算として285,000米ドル(1,500万フィリピンペソ)超を計上しました。
「会員の方々のニーズに即座に対応できて嬉しく思います。今回の自然災害の影響を受けた地域にある全てのユニットオフィスでは、顧客を救援するために、戦略的に救援物資の梱包が行なわれていました」とマニラ氏は付け加えました。
ウルドゥーハとヴィンタがフィリピン台風監視責任地域(フィリピン大気地球物理天文局が台風発生状況等を監視する太平洋北西地域)を通過した翌日には、CARDグループ団体の全ての幹部が、顧客および現地業務体制の状況を調査するために被災地に直行しました。
「これは、顧客の声に耳を傾ける私たち流のやり方でもありました。特に、顧客のニーズを聞くことで、今は対処できていなくとも将来的に検討すべき事のヒントを拾える可能性があるのです」とCARD MRIの創始者で会長のハイメ・アリストトゥル・B・アリップ博士は述べました。
写真:熱帯暴風雨ウルドゥーハと台風ヴィンタが去った後のCARD MRIによる救援活動
この記事と写真はCARD MRIのご好意により転載しています。