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ベルギーのP&V保険、様々な手法で新規資本調達

HildeICMIFに加盟するベルギーの保険協同組合P&V保険は、過去数カ月にわたり様々な手法を活用して新規資本を調達しています。調達は、以前からの(機関)会員や他の組織による出資、また直近では顧客や従業員、専属代理店への出資証券発行を通じて行っています。P&V保険および傘下保険事業のVIVIUMおよびARCESの最高経営責任者(CEO)のヒルデ・フェルナイレン(Hilde Vernaillen-写真)氏は、ICMIF理事会の会長も務め、協同組合/相互扶助の保険業界における第一人者です。

P&V保険は準備金こそ20億ユーロと潤沢だったものの、こうした新たな形の資金調達を始めるまでは資本レベルは低い水準(約51万1,000ユーロ)にありました。同グループは2018年6月、長年の会員らから4,490万ユーロの新規出資を受けました。出資した会員の中には労組のほか、フランスのMacifやMAIFなどの相互保険会社が含まれています。

翌7月には、さらに期間10年の劣後債発行を通じて3億9,000万ユーロを調達しました。これは上記の従来からの会員が取得しました。3億9,000万ユーロの内訳は、1億6,000万ユーロが新規資金であり、2億3,000万ユーロが2008~2009年(金融危機への対応)および2012年(MacifとMAIFが2007年にP&Vグループを強化するべく取得したVIVIUM株式の買い戻し)に実行された以前の融資を債券化したものです。

フェルナイレンCEOはベルギーの「レコー(L’Echo)」紙への先般のインタビューに対し、次のように述べています。「これにより、当グループの資本基盤が強化され、財務健全性も安定(注:新規資本調達前のソルベンシー・マージン比率は175%)しました。ソルベンシー比率は近年大きく変動しており、将来も起こりうる変動にこれで対応できるようになりました。」

「こうした出資・投資を受けたことで、自己資金による成長も可能となります。(中略)当グループは上場しておらず、それは長期的な観点での企業経営ができるというメリットがある一方で、自己資本基盤を確保する必要があるということを意味しています。」

P&Vはさらに現在、顧客や従業員、代理店にも協同組合出資への門戸を開きつつあります。とはいえ、議決権無しの高額の株式を発行し、大規模な投資を集めようとしている訳ではなく、主な狙いはあくまでも協同組合としての復活です。フェルナイレンCEOはレコー紙に対し、次のように述べています。「この取り組みは出資者と組合員が所有する協同組合という、本当の意味での協同組合の復活を意図したものです。当グループは、より多くの顧客からの出資参画を得て、ディスカッショングループの設立や新たな保険商品の共同開発の検討など、当社の運営に参加してほしいと考えています。」

出所:この記事は2018年10月12日付レコー紙に掲載された特集記事に基づいたものです。 

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。
記事日付 2018.10.25